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2019年3月 5日 (火)

アンサンブル・ノマド バッハを越えて 「超える」vol.3 2/23

【総決算】

アンサンブル・ノマド、今回の定期公演は「バッハを越えて」というテーマで、様々な典礼作品、祈りの音楽が組み合わされたコラージュ的な演奏会がつくられたが、それは中心となるバッハの『ミサ曲ロ短調 BWV232』からの断章を含む25のパーツから組み上げられた、至極、複雑なものであった。キリスト教カトリックだけではなく、東方正教、ユダヤ教、イスラーム等にまつわる伝統的な音楽(もしくは音楽のようなもの)が集められた一方で、作・編曲はここ数年中というものも少なくなく、伝統的なものと、新しいものが自由に行き交う活気のある音楽の風景が描かれた。また、ジャンル的にも日常の祈りの呼びかけに用いられる経典の読誦から、ミサ曲のような典礼にまつわる音楽作品、ターン・テーブルや電子音を用いたノイズ・ミュージックによる即興的な演奏、ラッパーによる自由なパフォーマンス等を含めて、越境的なものとなり、レビューを組み立てるのも簡単ではなさそうだ。

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2019年2月24日 (日)

マティアス・バーメルト(指揮) ブラームス 交響曲第2番 ほか 札響 615th 定期 (2日目) 1/26

【セレナータ・ノットゥルナ】

札幌交響楽団は尾高忠明、マックス・ポンマーにつづき、首席指揮者にマティアス・バーメルトを迎えて、今季から新しい挑戦に入っている。バロック期から現代に至る幅広いレパートリーをカヴァーし、それらをいずれも高い水準で構築する知的なマエストロだ。モーツァルトに代表される古典派作品への見識は、ロンドン・モーツァルト・プレーヤーズを率いた実績もあり、定評がある。また、音楽祭や、オーケストラのビルディングにも定評があり、その高い手腕は知る人ぞ知るところであるものの、日本での知名度が低いことでは、前任者のポンマーに勝るとも劣らないことだろう。今回、この組み合わせを初めて聴くことになったが、また、素晴らしい指揮者を連れてきたことは間違いなかった。

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2019年2月21日 (木)

オペラシアター こんにゃく座 オペラ『遠野物語』 (吉川和夫、萩京子、寺嶋陸也:作曲) 2/16

【オペラ『遠野物語』の人間関係について】

オペラシアター「こんにゃく座」は今季の新制作として、柳田國男の『遠野物語』に基づくオペラを3人の作曲家の共作によって完成させた。吉川和夫、萩京子、寺嶋陸也という3人で、それぞれにインディペンデントな活躍が目立つクリエイターたちである。台本は長田育恵が担当。俳優座の眞鍋卓嗣が演出した。私自身はこんにゃく座の公演には初めて接するが、その水準の高さには驚いた。音楽、演劇(文学)、美術、照明などの諸分野における一級のスタッフが、この小さな舞台を支えているようだ。そして、国文学と民俗学、現実とまぼろし、いまとむかしの汽水域をめぐる『遠野物語』に、新たな光を当てる一作となった。

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2019年1月18日 (金)

ヴェルディ レクイエム ロレンツォ・ヴィオッティ(指揮) 東響 サントリー定期 667th 1/12

【密やかなクライマックス】

ロレンツォ・ヴィオッティにとっては、渾身の舞台だった。クシシュトフ・ウルバンスキの代役として、東響に初めて登場してから共演を重ね、昨年は新国立劇場での指揮や、東京フィルとの共演も話題を呼んだ。まだ20代という若さでありながら、複数のオーケストラでポストに就き、一昨年、ザルツブルク音楽祭でも授賞したという。細部にわたる厳しい音楽づくりで、自らのイメージを徹底的に作り上げていくことで、日本でもよく知られるようになったが、それに先駆け、24歳で初登場の彼を評して、「僕はとても、普通の言葉でこの演奏会を評する気にはなれない」としたときの感動が、いよいよ深いリターンへと結びついてきている。惜しくも、昨夏の『トスカ』とはあう日程がなかったが、その高評から名を上げたロレンツォが、着実にひとつの階段を上ったといえる。ヴェルディの『レクイエム』の演奏は、前から3列目で聴く私の心臓を激しく衝いた。

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2018年12月21日 (金)

現代音楽コンクール 競楽XⅢ 白小路紗季が第1位 12/16

【競楽の概要】

1945年以降に書かれた独奏、もしくは、室内楽のための作品(クラシック音楽)で、そのパフォーマンス、演奏家としてのセルフ・プロデュース・スキルを競いあう現代音楽演奏コンクール『競楽XⅢ』を聴いた。私は’XⅠ’に初めて足を運び、素晴らしいイベントであることを確認してからは毎回、2年おきの開催に欠かさず足を運ぶようになった。今回も16日の本選会を聴いたが、本当に素晴らしい演奏者ばかりが並んで、腕比べというには勿体ない。あり得ないことだが、自分が審査に参加して同様に25点をつけることができるとしても、ほとんどの人は満点以外につけようがなく、採点には頭を抱えてしまうことだろう。誰が受賞したとしても不満はなく、その差はジュリー各々の価値観や趣味に基づくものでしかないといってもよい。

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2018年12月 3日 (月)

ラザレフ プロコフィエフ 『ロメオとジュリエット』 組曲 ほか 日フィル 横浜定期 11/24

【残り3曲を自由に想像させるラザレフ版】

2011年のあの日、聴き逃してしまったラザレフのロメジュリを、7年ぶりに回収できた。プロコフィエフによる2つの組曲版から抜粋して、任意に並べ替えたヴァージョンは、もともと震災前から準備されていたもので、必ずしも、運命的な過去の出来事にまつわる特別ヴァージョンというわけではないが、奇しくも、それに相応しい内容をもっていることは後述したい。3月11日に強行した公演と、2012年のアンコールにつづき、今回が3回目となり、最初の公演が録音にも残されている。その構成はバレエのドラマトゥルギーからは自由に、一見、音楽的な興趣だけを優先したようにもみえるのだが、7/10曲目に若い2人の悲劇が起こることで、残り3曲の解釈は聴き手のイマジネーションによって変容する、謎として生まれ変わり、劇的な解釈も可能である。多分、見える形は万華鏡を振るように十人十色であって、一定の答えを定めてはいない。その人がもっている音楽の知識やイメージ、あるいは、価値観のなかで、貴賤なく、いくつかにわかれるグラデーションにラザレフは寛容な姿勢を示す。

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2018年11月 2日 (金)

イザイ音楽祭ジャパン 東京公演 新発見『無伴奏ソナタ』ほか  出演者;フィッリップ・グラファン ほか 日本イザイ協会 10/20

【イザイ音楽祭】

ウージェーヌ・イザイは19世紀から20世紀にかけて最高のヴァイオリンの巨匠であり、優れた作曲家でもあった。特に、彼が6人の友人たちへと捧げた無伴奏ヴァイオリン・ソナタは、それぞれが大曲というわけではなく、むしろ、簡潔にひとつひとつのテーマを追った質素な作品たちであるが、それらのどれもが現代のヴァイオリニストにとっては最愛の、そして、必ずぶつからなくてはならない試練の作品となっている。バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータの6曲と同様、イザイの作品は特別に尊重されているのだ。最近、そのイザイの未知のソナタが発見されたというニュースが飛び交った。もっとも、そのソナタはいま述べた6曲のソナタに入るはずのものだったらしいが、バッハの前例に倣う形で調性を改めたせいで、お蔵入りとなったものだという。

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2018年10月29日 (月)

ラインダート・ファン・ヴァウデンベルク 歌劇『出島~シーボルトの愛』(ハイライト版) 演奏会形式 アンサンブル・ノマド 64th定期演奏会 10/25

【一体、誰がつくった?】

アンサンブル・ノマドの上演した歌劇『出島~シーボルトの愛』の世界初演は、あらゆる意味で型破りな成功だったといえる。今回は全曲WPという予定だったが、作品が長すぎたせいか、最終的には日本公演のハイライト上演への変更を決断。また、演奏会形式と謳っていたが、実際には演出と衣裳付きのセミ・ステージ形式で行われ、これに肉付けする形で作品は欧州に旅立っていくことになる。いつかまた、例えば新国立劇場のような、パヴリックな興行主などが作品を日本に呼び戻してくれる日を夢みるばかりだ。諦めなければ、夢は必ず叶うだろう。

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2018年10月19日 (金)

バッハ 音楽の捧げもの ほか 寺神戸亮/前田りり子/上村かおり/曽根麻矢子 @所沢MUSE 10/12

【父と子】

1747年の5月、ヨハン・セバスチャン・バッハは、息子のカール・フィリップ・エマニュエルが仕えていたプロイセンのフリードリヒⅡ(大王)に招かれ、王都ベルリン郊外のポツダム宮を訪れた。バッハは60代、大王は30代半ばである。大王は自ら用意した主題をバッハに与え、3声のフーガを所望すると、みごとにバッハは即興で応えたという。翌日、大王は4声、5声も跳び越えて、6声のフーガを所望したが、さしものバッハといえども、この難題には即座に応えることができず、拠点のライプツィヒに戻ってから緻密に作曲をしなおして、先の3声のフーガにも手を入れ、新しい6声のフーガに加えて、様々な種類のカノンと、4楽章のトリオ・ソナタ1曲を添えて、恭しく献呈した。これが今日に残る『音楽の捧げもの』の誕生であった。

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2018年10月 6日 (土)

野村誠&中川賢一 生誕50年記念 2台ピアノ・コンサート オリヴィエ・メシアンに注ぐ20のまなざし ほか 9/4

【一期一会の音楽】

台風の影響で交通機関が大幅に乱れ、早めに着いた私たちはあとからくる人たちを待つ間、飲み屋で聞くようなはなしも耳にできて、楽しかった。作曲家の野村誠はとにかく、世の中の役に立つ人だ。論理だけで生み出された目新しさや、美しい旋律などにこだわらない現場主義、できたて手作りの音楽。自らの関心を自由に表現し、そこに乗ってくる人たちを温かく歓待する音楽。その場に集う人々を明るくし、前向きな気持ちで家路につかせる音楽を得意とする。ところが、そうしたものが、例えばジョン・ケージの「チャンス・オペレーション」にちかい形となってしまうようなことも。理論的に構築し、知的に名付けられたものと、開放的な雰囲気のなかで、自然と成り立ってきたものというちがいこそあれ、両者にそれほどの差があるのだろうか。

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«高橋悠治(pf)&波多野睦美(Ms) シェーンベルク 架空庭園の書 @ムジカーザ 9/19

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