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2009年11月10日 (火)

浜松国際ピアノコンクール 第1次予選 (第2日) 11/9

浜松国際ピアノコンクール(浜コン)第1次予選の2日目を、映像配信で視聴した感想を引きつづき書いていこうと思う。2日目は、アナ・シェレスト、クセーニヤ・モロゾワ、エレーナ・ティスマン、ディナーラ・クリントン(前回出場時はナジャーフォヴァ)などの注目株、さらに、我々からみて地球の裏側、ボリビアからやってきたコンテスタントなどが次々に登場する。

本日の3人目で、アメリカの【アナ・シェレスト】が登場した。打鍵を始めた瞬間、ブリリアントな響きが流れ、期待感を高めてくれる。直前の【ナタリア・クチャエワ】も同様の傾向ながら、ここから構成力の弱さで沈んでいったが、シェレストは立体感のある音楽構成と、やや甘みのある信仰心をみせて、プレリュードとフーガをしっかり演奏する。古典派の曲目はベートーベンの後期を選んだが、決然としたロマン性がよく出た好演。ショパンもしっとり艶のある詩情を、じっくりと表現した。年長(26歳)のコンテスタントに相応しいまとまった表現力をアピールしたが、ややディフェンシヴなパフォーマンスにも見える。

このあたりのコンテスタントたちは偶然にも年齢層がちかいこともあって、同じようなタイプがつづく。だが、次に弾いたカナダの【マリー・エレン・トランプ】のほうが、作品への切り込みという点では勝るか。特にショパンのバラードでは鋭くも均整のとれた演奏だったが、ウェイトの高そうな、古典派のベートーベンでの印象が弱いのが、選考上の欠点となるかもしれない。

ロシアの【クセーニヤ・モロゾワ】は、期待どおりのパフォーマンスをみせた。ロシアのコンテスタントはバッハを無難にこなす印象があるが、モロゾワはじっくりした演奏をつくり、信仰心に満ちた演奏ぶりで音楽性の細やかさを印象づける。モーツァルトはすこし前のめるくらいの快速だが、その傾向は同じ。リストの技巧的なプログラムでも表現が粗くならず、非常に高い手腕とエスプリの持ち主であったが、時間に追われたのがどう響くか。

2日目は注目コンテスタントがつづく。フランスの【エレン・ティスマン】は響きがより細やかで、機動力があるので、バッハは躍動感があり、舞曲の明るい雰囲気がよく出ている。モーツァルトは短調にシャープなフォルムを与え、どちらかというと堂々とした演奏になっていた。スクリャービンでは導入部の和声展開などがきれいで、ドビュッシー的な、牧歌的優雅さをもつ響きを聴かせた。

前回大会、17歳でセミ・ファイナリストとなったナジャーフォヴァとやっぱり同一人物らしい、ウクライナの【ディナーラ・クリントン】。この年代の女子は3年もすると、ガラリと変わるものだが、随分と清楚な女性に変身した20歳の見かけは変わっても、演奏のフォームや傾向は当時の姿を偲ばせる。厚みのある響きが特徴のスケール感あるバッハが印象に残る。ベートーベンは最初の楽章がすこし緩く、なよなよとした感じ。選んだピアノのせいかもしれないし、配信の音質のせいかもしれないが、前回大会よりも響きが籠り気味に聴こえ、全体的に音楽のキレが損なわれている印象を得た。

どのように評価されるのかわからないし、音楽づくりも随所にやや粗い部分が目立つとはいえ、独特のアプローチで面白いのは、シンガポールの【チー・タム・トミー・シア】。バッハもベートーベンも、(良い意味で)すこしボルトが抜けたような演奏で、リラックスした音楽世界が爽やかだ。リストなどはどこかの現代音楽のようなファンシーな響きだし、後半はラフマニノフとメシアンが混ざったみたいな不思議なロマン性を示す。かなりのテクニシャンであることは確かなのだが、どうだろうか。

夜のコンテスタントは大味な人がつづいただけに、一転して正統派の、韓国の【アン・スジョン】がよく聴こえる。スケール感はないが、ベートーベンも筋がよく、弦楽器のようなリストの出だしの音色も素晴らしい。バッハはすこし引っ張り気味だが、それを除けばフォルムも美しく描けているといえるだろう。見落としていたが、あとで調べてみると、彼女はゴルラッチの優勝した今年のダブリン国際で第3位に入賞している。なお、この大会からは、第2位のパク・ジョンヘも転戦していて、10日に登場する予定だ。

夜の部では、ロシアの【ヴィヤチェスラフ・ロンジン】にも注目した。まだジュニアでしか実績がないようだが、よくトレーニングされた技術力に支えられながら、ロシア人らしい濃厚なロマン性を示す。バッハやハイドンでも清潔な打鍵をみせており、構造的な把握も明確。リストは、ロシア的な共感に基づく演奏だ。『ハンガリー狂詩曲』という題名だが、もとはロマの音楽だったということを思い出すと、かなり説得力がある。

やっぱり腕はやや劣るが、ボリビアからようこその【ミサエル・メヒア】の演奏も聴けて、なかなか充実の1日だった。甲乙つけがたい出来映えの人たちが並んだなかで、この日のイチ押しとして、思いきってロシアのロンジンを挙げたい。

なお、本日の日本人コンテスタントは地元・静岡県出身で、この日のトップを飾った16歳の【佐藤元洋】だけだったが、どの曲でも演奏が小さく、こぎれいな印象におわった。

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