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2009年11月25日 (水)

ガスパール・カサド国際チェロコンクール 間もなく開幕!

浜松国際ピアノコンクールが終了したばかりだが、八王子のガスパール・カサド国際チェロ・コンクール(カサド・コンクール)も、27日から開幕する。

【コンクールの特徴】

なぜ、八王子なのか。20世紀の大チェリスト、ガスパール・カサドのご内儀であり、優秀なピアニストであった原智恵子女史の遺志が、関係している。1967年に亡くなった夫の名前が冠されたチェロ・コンクールは1969年以来、イタリアのフィレンツェを舞台におこなわれ、ミッシャ・マイスキーらのチェリストを輩出していたが、1990年に智恵子夫人が帰国したのを機に、その伝統は途切れてしまった。病で帰国した智恵子夫人は、自らが晩年を過ごす八王子でコンクールを復活させることを願っていたが、その志を果たせぬまま他界。しかし、その志を知る市民グループが中心となってNPOを設立し、コンクール復活への努力が続けられた。

その熱意が行政を動かし、NPOに、八王子市や市の文化財団が協力する形で、ついに、2006年に第1回のコンクールが開催された。

このコンクールの著しい特徴は、浜松や仙台のコンクールとは異なり、行政主導で動くコンクールに市民がボランティア、ホスト・ファミリーなどとして参加するというのではなく、市民によって構成されるNPOそのものが、自治体や財団とともに主催者となり、コンクールを支えていることである。例えば、浜コンの主催者は、浜松市と浜松市文化振興財団である。しかし、カサド・コンクールでは、特定非営利法人チェロ・コンサートコミュニティーの名前が、しっかりと主催団体である実行委員会のメンバーとして併記されている。

このようなコンクールは、世界的にみても稀なのではないかと思う。

【コンテスタントと審査委員】

よって、国際音楽コンクール世界連盟に登録されるような格式はないし、浜コンのようにヒト、モノ、カネをかけたコンクール運営もできない。賞金は優勝者で150万円となかなかの額ではあるが、それほど魅力的な特典が多いわけでもなく、コンクールとしてのアピール力はそれほど大きいようには思えない。ところが、蓋を開けてみると、第1回大会には、世界中でそれと名の知られたコンテスタントたちが集結し、大いに盛り上がったという。そして、第2回となる今回も28の国と地域から参加応募があり、そのうち、事前オーディションで参加を認定された者が62名。ここからほとんどキャンセルが出ずに、これまでに60名の参加が見込まれている。

日本勢が18名と最大勢力を構成する。そのなかには、辻本玲のように、既にプロに準ずる活動を始めている人もいる(3日前のリサイタルでは予行演習も済ませた)。藤井泉は前回大会で2次予選に進み、日本人作品最優秀演奏賞を受賞。加藤文枝は、私が聴いたデュティユー(いまから思うと、これがリハーサルであった)はたまたま退屈であったが、現在の東京藝大生のなかではエース的存在であるようだ。

やはりアジアからの参加者が多く、韓国から6名、中国から2名、台湾から1名のエントリーとなった。これを日本とあわせると、ほぼ半数にちかい27名にのぼる。第2勢力は米国で、韓国系を含めると6名。また、日本のコンテスタントでも、米国の音楽院に在籍する人まで含めると、さらに多くなる。西欧からは多様な国籍で総勢11名、ロシアとベラルーシからは3名、そのほかの東欧圏・バルカンからは7名。イスラエルから1名という構成になっている。

前回大会、実際にどのようなコンテスタントが選ばれたかというと、私はチェロのコンクール事情などに詳しくないし、その後の活躍等がよくわからないから、何とも言えない。しかし、昨年の正月、マーヤ・ボグダノヴィッチ(第2位、聴衆賞)の演奏を聴いたときには、古典派ではもうひとつと感じたものの、ブリテンの伴奏付きソナタでは、その見事な歌いまわしに大興奮したものだった。どうやら、審査委員たちの慧眼は間違っていないようだと確信した。おまけにビジュアル的にも目立つ存在であったから、この人は売れるだろうなあと思っていたが、彼女のHPをみると、どうやら世界中を飛びまわって活躍している様子が窺える。

今回の審査委員は、アラン・ムニエ、ルイス・クラレット、アルト・ノラス、ローレンス・レッサー、堤剛らの名奏者、名教師を含む9人が選ばれている。レッサー氏は日本のヴァイオリニスト、潮田益子女史のパートナーとしても知られている。いちばんのビッグ・ネームは、ランスやイタリアで教鞭をとり、室内楽のスペシャリストでもあるアラン・ムニエだろう。フランス、アメリカ、北欧、東欧、スペイン、韓国、日本と、多様なバックボーンをもつ審査員たちの存在が、コンクールの魅力のひとつになっているのかもしれない。

【その他】

浜コンのように、映像のネット配信もおこなわれる。こちらは向こうほどカネがかけられないせいか、本選以外はオン・デマンドによる事後配信のみとなっており、その公開も午前中の演奏は午後になってから、午後のラウンドは演奏終了次第と、浜コンほどは早くない。しかし、コンクール時には、隣のホールでカサドの遺品などが展示されるなど、いろいろな関連イベントが用意されており、街ぐるみの雰囲気がつくられている。

プライズでは特別賞のウェイトが大きいのがひとつの特徴で、優勝賞金150万円に対して、ガスパール・カサド作品最優秀演奏賞が50万円と破格で(第3位の賞金に等しい)、日本人作品最優秀演奏賞も30万円とウェイトが高くなっている。また、市民のためのコンクールだけあって、その支持を表すことになる聴衆賞にも30万円がかけられ、他のコンクールに比べて、オーディエンスからの心証度が圧倒的に重視されているのも面白いところだ。

【進行】

コンペティションは、本選を含めた3つのラウンドで争われる。第1次予選は規定曲による審査で、27日から30日まで。第2次予選は一定の条件に基づいた自由なリサイタル方式。12月1・2の両日。本選は、指定の5曲のうちから1つを選んでの協奏曲の演奏による審査。12月5日。これはもう、チケットが完売となっている。表彰式と入賞者の披露演奏会は、6日となる。

いちょうホールのキャパシティからいって、オーケストラ演奏には手狭であるうえ、オーケストラの東京フィルには、こうした場所では、まともなパフォーマンスを期待できないため(ヴィオラ・コンクールで実証済み)、平日ではあるが、本当のオススメは第2次予選の2日間となる。伴奏者にも表彰があるのが、コンクールのひとつの特徴でもあるから。

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