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2009年12月30日 (水)

事業仕分け、文科省が予算案への反映状況を公表

文部科学省が、事業仕分け、そして、それに対するパヴリック・コメントを踏まえて、来年度予算案への反映状況を公開しました。

 文科省HP 「予算」トピックスで公開されている文書:
  http://www.mext.go.jp/component/b_menu/
  other/__icsFiles/afieldfile/2009/12/28/1288506_3_1.pdf 

【芸術分野の予算案は・・・?】

芸術分野については、次のようになっています。まず、「予算の圧倒的縮減」を突きつけられた【芸術創造・地域文化振興事業等(子どものための優れた舞台芸術体験事業/芸術創造・地域文化振興事業)】に対しては、概算要求のほぼ9割に当たる約104億円が認められました。14万件のパヴコメのうち8割方を占める11万件が、この問題に対する削減反対のために寄せられた意見であったそうで、この数字は各分野のなかでも突出しています。予算は認められましたが、「優れた芸術活動への重点的支援については3年で」半減させるとともに、「芸術拠点形成事業を2年で廃止する」などの効率化を約束した内容となっています。

この決定により、日本芸術文化振興会もいきなり消滅してしまうようなことはなくなった、といえるのではないでしょうか。

次に、「予算要求の縮減」を求められた【芸術家の国際交流】については、概算要求のおよそ83%となる約27億円が認められました。寄せられた意見はほとんどが仕分け結果に対する反対で、およそ900件。今後は、海外公演の回数減や、新規派遣の減などの効率化をおこなうとしています。

仕分けでは「国の事業として行わない」と判断された【伝統文化子ども教室授業】は、概算要求の約67%と大きく削られましたが、それでも約12億円が認められました。当面は継続事業を中心とし、3年後には廃止するということですが、「引き続き他の施策と相俟って文化の振興に努めて参ります」とし、省としては何らかの形で、事業を存続させるような方向性を探っていく方針が付け加えられています。この分野へのパヴコメは、1400件を数えたということです。

廃止になったのは2事業で、【学校への芸術家派遣】【コミュニケーション教育拠点形成事業】です。前者については約3億円の概算要求がゼロとなりましたが、上の「子どものための優れた舞台芸術体験事業」に統合して継続するとしています。これらの分野に対するパヴコメは、あわせて800件となっています。

そのほか、札響のチェロ奏者のページによると・・・

 1)文化庁の総予算は、1020憶2400万円
           (4億8500万円増<0.5%増>)
 2)「本物の舞台芸術体験事業」(音楽教室)は、
         68億400万円(6億7200万円増)
 3)「優れた芸術活動への重点支援」は、
     49億7800万円(実質4億2000万円減)
 4)「芸術家の海外派遣事業」はまだ未定

ということになったようです。これにより事業仕分けによる激変措置により、日本の芸術分野の活動が直ちに根こそぎにされる可能性は、当面なくなったといえそうです。

【今後の努力が大事、各自が責任を果たすべき】

しかし、内容をよく見ていると、確かに芸術分野の重要性をポジティヴに評価する文言は並んでいるものの、来年度予算獲得と引き替えに、長期的には再び危機が訪れる可能性が読み取れる部分もあり、将来にわたって完全に安泰たる保証を得たとはいえないのが現状です。仕分けチームの論理が完全に否定されたわけではなく、将来の廃止を見据えての激変緩和を狙った妥協的な決定という印象が強いのです。

例えば、平田オリザ氏が訴えるように「文化省」を設立し、芸術助成についてフェアに判断する機関が必要という問題は、まったく取り上げられておりませんし、今後も、一定の予算措置が守られるための仕組みというのは、まるで整っていません。また、今回の問題を契機に指摘されてきた具体的な問題については、もちろん、手付かずのままで、天下り官僚によるピンハネ体質も保存されたことになります。

私は、今回の仕分け結果による一方的な助成金や事業の取り上げについては、根本的に問題があると主張してきました。それは小異を排して、「けしからん」というべき問題だったと思います。しかし、一方で、現在のシステムに問題があることは、特に、この分野に近しい人たちにとって自明な問題であるようですし、そのことについては認めます。一度、仕分け結果が押し戻されたのであれば、次こそは、そこに矛を向けるべきでしょう。こうしてカンフル剤が打たれているうちに、この分野のプロたちは実力や可能性、社会的な意義に応じたフェアで、ロスのない芸術助成のあり方や、それを守り、監視する客観的な機関の設立や、運営について考え、具体的に働きかけていくことが必要なのではないでしょうか。

何年かのちに、我々ファンたちがガッカリする結果にならないよう、芸術関係者たちの主体的な努力、まず、自らが変わっていく努力、さらに、非効率的な助成サイドの矛盾をつき、変化を促す努力が必要であろうと思います。また、行政側としても、今回のように、仕分け人たちの格好の餌食とならないような、効率的な助成のあり方について、やはり主体的に改革をしていくことが絶対に必要ではないかと思います。私たちにとって最悪のシナリオは、彼らが自分たちの特権が守られたことに安住し、相変わらずのピンハネ体質を維持し、ついに何年かのちに、非効率な芸術支援体制が根こそぎにされることです。

マスコミついては、「権力の監視」といって官邸や民主党本部に張りつくばかりでなく、そのような部分への監視機能も、十分に果たしてもらいたいものです。彼らが芸術分野に対する酷い仕打ちを報じ、問題にしたというならば、それもまた報道の責任であろうと思います。そして、私は一介の音楽ファンではあるけれども、引き続き、そうしたところに関心をもち続けていることが、最低限の責任であろうと思います。人々には、それぞれの役割に応じた責任があります。その責任が正しく果たされなければ、当然の権利も失われるでありましょう。

政府についても、注文はつきます。仕分けは鳩山政権のなかで、数少ない成果であったことは誰しもが認めるところだと思います。しかし、科学技術、医療などについてもそうですが、専門性のつよい分野について、経済人、政治家、官僚などがジャッジを与えるのは、本当に難しいことであることを踏まえ、仕分けの方法にも工夫が必要だと思います。仕分けにはある程度、ざっくりした部分も必要だとは思います。しかし、そのなかにも繊細な仕掛けがなければ、今回のような問題を生むことになります。それは政府与党にとってだけではなく、国民全体の利益を損なうことにつながります。

それぞれが自らの責任について見なおし、今後のドラスティックな変化に備えていくときが来ているように思います。

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