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2009年12月30日 (水)

大晦日にベートーベンの室内楽を聴こう!

三枝成彰のオフィスが、岩城宏之氏ほかの3人の指揮者を立てて、ベートーベンの全交響曲を大晦日に取り上げて成功させたのは、2003年のことだった。ジルヴェスター・コンサートの存在などは知っていたが、大晦日にクラシックを楽しむというのは、それまで思いつかないことだった。このイベントは、当時、既に体調を崩していた岩城氏ひとりによる挑戦へと衣替えして、私は毎年、通いつづけていた。

2006年に岩城氏が亡くなられると、9人の指揮者が1曲ずつ受けもつリレー形式の追悼演奏会のあと、小林研一郎氏ひとりによるプロジェクトに衣替えし、企画は再定着したようにみえる。今年は、小林体制による3回目となる。私はその1回目まで通ったが、昨年は趣向を変えた。

【大晦日にベートーベンの室内楽を聴こう!】

実は2008年末には、このコンサートを含め、3つのベートーベン関連のイベントがあった。東京オペラシティでは、コンサート・イマジン系の事務所が老若男女16人のピアニストを集めて、ピアノ・ソナタ全32曲を演奏する企画をおこなった(1年で打ち切られたようだ)。そして、交響曲連続演奏会をやっている隣の小ホールでは、ミリオンコンサート協会が主催し、3つのクァルテットが弦楽四重奏曲=全15曲のうち後期作品と、ラズモフスキー・セットを含む9曲を演奏する企画をやっていた。

この企画は、大ホールの企画を追うように、2006年にスタートしたものである。周知のように、ベートーベンの交響曲は1824年に第9番が完成されているが、その後も弦楽四重奏曲の創作はつづき、『大フーガ』を含む6曲が作曲されている。交響曲だけでは追うことができないベートーベンの余生を、室内楽でカヴァーしようという洒落の効いた企画であった。その後、壮年期のラズモフスキー・セットが加えられ、9曲での演奏会となり、大ホールの企画に睨みをきかせるものになった。

昨年は、開演の早いピアノの演奏会を途中で抜け、室内楽を聴き、終わったあとに再びピアノ演奏会に戻って、年を越したのである。今回はピアノの企画が打ち切られたので、室内楽のほうのオススメである。

出演するのは、3つのクァルテット。古典四重奏団(クラシコ)、クァルテット・エクセルシオ(エク)の常設のクァルテットに加え、フリー奏者の山本祐ノ介と、読響・大フィルのコンマスと首席奏者で構成される臨時編成のルートヴィヒ弦楽四重奏団である。昨年の演奏を聴く限りでは、前者2つのグループと比べると、ルートヴィヒは作品への彫り込みが甘く、クァルテットというよりは、マイクロ・オーケストラという印象であった。前回は彼らがトリであったが、今回はトップに変わった。そのあと、エク→クラシコという順番なので、理想的な流れになったと思う。

私は、上記の3つのイベントをすべて体験した数少ない人間であるが、ピアノの企画は、楽器の発達と作曲家自身の成長をみつめながら、次々に出てくるピアニストの品評会まで楽しめる企画だったし、交響曲のほうは、首謀者のひとりである三枝成彰がよく喧伝しているように、ガッツリと魂に呼びかけてくるもののあるコンサートだ。しかし、それらにも増して室内楽演奏会こそが最高の企画である、と私は信じる。そこには逃げも隠れもしないベートーベンの素裸の音楽美学が息づいているのであり、掘れども掘れども、掘り尽くすことのない作品世界に挑む各クァルテットの葛藤のあとが明確に窺える。ベートーベンの遺したノートと、クァルテットがいましも書きつつあるノート。それらの両方を我々は目にしながら、ゆったりした時間を送ることができるだろう。

開演14:00、終演予定が21:00ということなので、残念ながら、この企画で年を越すことはできないが、除夜の鐘は本来、家庭のなかで聞くものではなかろうか。今年は、その基本に戻ろうと思うのだ。

【どうしてもクラシックで年を越したい人のために!】

どうしてもクラシックで年を越したいという皆さんのためには、そのまま隣の大ホールに場所を移すのも一興であるが、それよりは、サントリーホールのジルヴェスター・コンサートがオススメである。開演は22:00であるので、よほど予定がおさない限りは、十分に間に合うはずだろう。

演奏はウィーン・フォルクスオーパー交響楽団というグループだが、オーラ・ルードナーという優れた指揮者が率いている。この北欧人は、ヴァイオリン奏者としてウィーン響やカメラータ・ザルツブルクのコンマスを務めた人物だが、指揮者としては、このフォルクスオーパー響のほか、タスマニア響、ヴュルテンブルク・フィルなどでポストを得ており、BIS、GENUIN、ABC Classicsといったレーベルから録音を出している。なんだ、大したオケではないではないかと言われそうだが、さにあらず。例えば、ABCから出したロッシーニの序曲集など、珍しい動物で有名なタスマニアのオーケストラから、驚くほど多彩な表情を引き出して、いわゆる「ロッシーニ・クレッシェンド」なども見事にこなしているのだ。

指揮者のルードナーにはある程度の信が置けるとして、ウィーンゆかりのシュトラウス・ファミリーの作品が並ぶとあっては、良い演奏になることは目に見えているのではなかろうか。今回、新国の『サロメ』題名役で登場し、未熟ながらも、なかなかに魅力的な声を聴かせたソプラノのナターリア・ウシャコワが登場するのも魅力。テノールのメルツァード・モンタゼーリは、フォルクスオーパー日本公演でフロトーの公演に出演。フォルクスオーパーのバレエ・ダンサーも呼ばれ、司会には星野知子、さらにハンドベル・アンサンブルがクレジットされて演出も面白そうだ。

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コメント

アリス さま
時々ですが楽しみに拝見しています。
大みそかのベートーヴェン企画は面白そうですね。いつか行ってみたいものです。

ところで
ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団は、
適宜エキストラのメンバー
または舞台管弦楽団のメンバーが入っている
と思いますけれども
ウィーンのフォルクスオーパーのオーケストラが
単独で活動するとき、
つまりコンサートを行う時の名称です。
いわゆる寄せ集めではありません。
日本向けの名称でもありません。
ウィーンでもフォルクスオーパーのオーケストラが
コンサートをおこなうときは交響楽団がつくようになりました。

ウィーン・フィルが海外公演をしていても
現地の国立歌劇場ではヴェルディ・クラスのオーケストラ編成のオペラの上演が可能なように
フォルクスオーパーのオーケストラも現地組と海外公演組の二手にわかれるわけです。

細かなことですが書かせていただきました。

正規のメンバーのほかにエキストラや舞台管弦楽団のメンバーが加わっているという点では、
ウィーン・フィルと同じ感じであります。

ご教示に感謝します。ありがとうございました。

大体、そんな感じだろうとは思っていましたが、本拠地でも規模の大きい公演があり、エキストラ率が高くなりそうな感じがしたため、寄せ集め的なことを書いてしまいました。その文言は外しておくことにします。

お初ですが、良いお年をお過ごしください!

アリス さま
いまごろ(31日の午後から)は上野の森で弦楽四重奏三昧でいらっしゃいますでしょうか。
わたしたちは、元日はテレビでウィーンフィルのニューイヤーコンサートを楽しみます。テレビでのんびりになるか、FMを流しながらキッチンで「給仕の修業中」かもしれませぬが。
どうぞよいお年を。
多方面に対しての卓見、ときどきになってしまっておりますが拝見しています。機会がありましたら、またおじゃまします。

お返事が遅れましたが、明けまして、おめでとうございます。ウィーン・フィルのニュー・イヤーは楽しまれましたか。今年も、よろしく、おねがいいたします。

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