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2010年7月16日 (金)

サー・チャールズ・マッケラス氏が逝去 ロンドンにて 享年は84歳

ガッデーム! まことに残念なおしらせです。指揮者のチャールズ・マッケラス氏が亡くなられました。ここ数年、癌を患っておられたようですが、14日、ロンドンにて84年の生涯を閉じられたとの次第です。ご病気とはいえ、スウィトナーのように完全な引退生活ではなく、旺盛な活動がつづいていただけに驚きました。

マッケラスはユニークな経歴を持ち、オーストラリアの著名な作曲家の子息として生まれ、はじめはオーボエ奏者として活動しました。やがて指揮にわが道を定め、英国→プラハと渡って、チェコの名匠にして、名教育者であるヴァーツラフ・ターリヒに師事しました。どこの記事にも書いていないでしょうが、この時期、ターリヒは共産党の文化政策により、パージされていたため暇があったのです。皮肉にも、そのおかげで、欧州にヤナーチェク・ルネッサンスを引き起こすきっかけをつくる名匠が生まれます。

英国でキャリアをスタートしたマッケラスは、ターリヒ仕込みのスラヴ系の音楽を得意として、1978年にヤナーチェク賞を受賞しています。当時、ヤナーチェクの作品はまだ知名度がなく、マッケラスはこの分野でのパイオニアに当たります。彼はチェコやモラヴィアにルーツをもたない指揮者でありながら、言語を含む深い作品理解により、地元の大学等からも幅広い支持を集めて名誉教授等として迎えられました。

一方、マッケラスはスラヴものに限らず、古典作品から現代ものに至る幅広いレパートリーに見識を広げており、アカデミシャンとしても有能な人物でした。彼のことをそう呼ぶ人は珍しいですが、その演奏実績をみれば、かなりラディカルなピリオド派のひとりでもあり、何十年も前から変わらぬ尖鋭なスタイルを続けています。そのスタイルにようやく時代が追いついたころに出された、モーツァルトの後期シンフォニー集や、ベートーベンの交響曲全集、さらに、いくつかのモーツァルトのオペラの録音(特に、皇帝ティートの慈悲)は珠玉の遺品となりました。いわゆる「ベト全」はより古く、知名度があるロイヤル・リヴァプール・フィルのものと、ライヴ主体のスコットランド室内管との2種類が残りました。

私はマッケラスの録音をふかく信用していますが、そのきっかけとなったのは、DGから出されたモーツァルトの歌劇『皇帝ティートの慈悲』のディスクでした。エディンバラ音楽祭で話題となり、絶賛されたキャストそのままに、珍しくDGが本領を発揮した一枚で、セスト役にマグダレナ・コジェナーが配されたことで、大きな話題となりました。しかし、私はコジェナーよりも、マッケラスのほうに注目したのです。その後、マッケラスのモーツァルトを中心にふかく聴き進み、のちにヤナーチェクなどの録音を知るに至りました。つまり、愛好歴の長いファンからみれば逆まわしにテープを辿ったようなもので、マッケラスの本丸に辿り着いたのは、すこし、あとになってからです。

マッケラスは英国ではナイトの称号を受けており、押しも押されもせぬ巨匠なのですが、日本での人気はさほど高いとはいえず、来日もあまりなかったはずです。心残りは、これほど敬愛するマッケラスの音楽をいちども生で耳にする機会がなかったことでしょう。しかし、私のなかでは、とっても身近なマエストロです。氏のご冥福をお祈りいたします。

サー・チャールズ・マッケラスに捧げる(彼自身の)録音:
 ヘンデル/モーツァルト編 アーメン~オラトリオ『メサイア』

 ベルリオーズ サバトの夜の夢~『幻想交響曲』

 ワーグナー 序曲-ヴェヌスベルクの音楽~歌劇『タンホイザー』

普通に定評のないものを、敢えて選んでみました。最後のは、有名な序曲と、ヴェヌスベルクの音楽が結びついた珍しい録音(いあゆるパリ版)です。

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