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2010年11月14日 (日)

事業仕分け 芸術分野への「通告」に文科省はどう動くのか?

昨年の今ごろは政府による事業仕分けによって、日本芸術振興財団を心臓部にしたオーケストラなど芸術分野への助成システムが破壊され、多くの団体が存続の危機に立たされるのではないかということで、大きな動きがあった。仕分けでは「圧倒的縮減」を求められた舞台芸術への支援活動については、その後、専門家(芸術家)や一般からの批判がつよく、判断結果は押し返され、一転、前年度よりも高額の予算が獲得されるに至ったのは周知のとおりだ。

当時、まだ余力があったといえる民主党政権は、トップ交代の劇薬を用いてもなお、国民の信頼を裏切りつづけて支持を失うという体たらくで、次期選挙での下野はほぼ確実な状勢となってきた。菅政権はあと、どれだけ命脈を保つことができるだろう。万一、菅内閣が倒れるというようなことになれば、解散総選挙を経ずして3人目の総理を選ぶようなことは国民が許さないだろう。

本来、日本国民は自分たちの選択の責任として、少なくとも4年間は我慢する義務があると私は思っている。しかし、多くの人たちはいろいろな理由づけで、その義務を早くも放棄し、選択から1年足らずの参院選で再び気紛れな断罪をおこなった。その間の鳩山政権の約束違反や、国益を損なう数々の迷走ぶりを考えれば無理もないが、この辛抱のなさは政権の実行力をいっそう失わせるだけで、ひとつのメリットもないと思うと、先の選挙の結果は複雑なものであった。

ちなみに、参院選は自民党の勝利といわれるが、実際には、得票数は相変わらず民主党がトップだったことも忘れてはならない。しかし、1人区で再び自民党が強さを発揮し、多くの議席を占めることで勢力が逆転したのだ。

さて、この危地において、民主党が誇れる成果といえば事業仕分けぐらいしかなかったわけだが、その仕分けさえも、その後の政策や予算状況に反映されておらず無意味だ、人気とりのパフォーマンスであるとの批判があがってきた。それに対し批判の打ち消しに躍起の政府は、今シーズンの仕分け第3弾として、これまでの仕分け結果を検証する再仕分けを設定し、一部の事業に関しては、より強行的なトーンの「通告」を発することで、仕分け結果の反映を迫るという決定をおこなった。

ここで槍玉にあがっているもののひとつに、上に示した芸術分野への支援事業がある。この事業に関しては、「圧倒的縮減」を求められながら、あべこべに予算が増えた「焼け太り」(ちょっと本来の語義にあわない気がするが)の象徴として論われている。今後、おこなわれるであろう「通告」に対して、文科省がどのように対応するかは不透明であるが、万一、これを丸呑みした場合は、昨年、懸念された問題が再燃することになる。

再仕分けにかけられる事業では、明らかに必要性の認められない事業が継続、復活、あるいは、かえって増加している例もなくはないが、この芸術分野に関しては、いささか問題が別ではなかろうか。科学技術分野と同様、この分野は仕分け人の見識不足、もしくは、その価値観の薄っぺらさが招いた明らかな判断ミスであり、現在のシステムに代わる新しい金の流れを用意せず、既存の助成システムをいきなり破壊するようなことになれば、日本のこころを支えていた様々な活動が、瞬時に失われることになるのは目に見えている。

理想的には多くの人たちが(安易に)言うように、このような御上からの金の流れに頼らない芸術のあり方を模索したり、音楽ジャーナリストの渡辺和氏がいうように、官が芸術支援に口をはさまず、善意の寄付金が税制的に毀損されてしまうシステムを是正するような方向性にいくことが望ましいのかもしれないが、その体制は一長一短に生まれるものではない。いつまでもダラダラいくのが望ましいことではないにしても、いっそのこと一挙に・・・というのは明らかな暴論である。それなりに新しいシステムが準備できるまで、既存の助成システムは温存されなければいけない。

事業仕分けの結果を官僚たちが軽視し、ほとんど、いままでどおりに予算編成が動いている事態は、もちろん、看過すべきではないだろう。しかし、一方では、仕分けにも判断ミスがあることは、昨年、問題になったいくつかの事例で国民も認知するところとなった。芸術分野に関しては決して「焼け太り」などではなく、正しい価値観が正しく評価しなおされただけのことで、文科省の判断はこの場合、仕分け人よりも重みがあったと見たいと思う。

実際、民主党政権はこの予算を含む平成22年度の予算要求を承認しており、実質的には、上の判断ミスを認めたものと解釈している。それを棚に上げて、「結果が反映されていない」とはどういうことだろうか。また、22年度予算の承認や、それに至る中間の経緯をすべて捨象して、「焼け太り」として槍玉にあげるとは不見識も甚だしいのではないか。

蓮舫行政刷新相は事業仕分けの現場だけを見て、実際の政治の全体像を見ていないのであろうか。もちろん、そうではない。これは故意の見落としであり、なにかを悪者に祭り上げることで、仕分けの「正義」を取り戻そうとする悪企みに他ならないだろう。

例えば、同じように仕分け後の激しい批判に屈して予算が認められた科学技術分野に関しては、再仕分けの対象には入れているものの、とりたてて槍玉にあげていないのはなぜだろうか。それは、表だって必要性の説明しにくい芸術分野に対して、多くの国民が国家繁栄の生命線と考える科学技術分野に対する予算縮減措置を再び蒸し返せば、仕分けそのものに対する批判がかえって強まるおそれがあるからであろう。

この問題に対しては、しばらく注視していきたい。昨年、文科省や文化庁に声を送られた人たちにも、再び関心を呼び起こしてくださるようにお願いしたいと思う。

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