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2010年11月28日 (日)

日本のオーケストラの2011ー2012シーズン 展望(4月期初グループを中心に) ①

日本のオーケストラのなかにも、欧米と同じく9月を楽季の初めとする団体が出てきたが(新日本フィル、N響、日フィル)、日本的慣行にしたがって4月を季初とする団体もまだまだ多い。各楽団とも厳しい競争時代のなかで、会員獲得競争の都合もあって来季プログラムの発表には最適のタイミングを見計らっているが、在京オーケストラに関していえば、東京フィルを除くほとんどの楽団の新しいシーズンの見通しが開いてきた。東響、都響、読響を中心に、来シーズンの見どころなどを整理しておきたい。

【厳しい経済状況のなかで】

近年、民間企業からの支援金(スポンサーシップ)の減少や、国や地方自治体の支出削減に伴う収入減少が厳しくなるなか、各楽団ともジャブジャブな運営を維持することはできず、なんとか自分たちらしさを守りながら、工夫した運営がおこなわれている。全体的な傾向として、あっと驚くようなソリストの招聘はあまりなく、その分、引き締まったプログラミングで筋を通すことを重視しているようだ。年間テーマを設定するなどして、一定の評価を得た新日本フィルの手法を真似るわけでもないが、主張の見えやすいプログラミングが浸透してきたのは、良いことだと思う。

指揮者は自前の役付を中心に、団内外で一定の成果を挙げ、計算の立ちやすい中堅・若手が多く起用されている。そのことはマネジメント会社の都合に沿ってもいるのだろうが、その楽団に新しく登場する指揮者であっても、近年、どこかでみた顔である場合が多い。

例えば、東京交響楽団の12月定期を指揮することになっているギュンター・ノイホルトは東響初登場ではあるものの、2008年末に読響で「第九」を指揮して、見事な成果を挙げている。また、都響の10月のA定期を指揮するアラン・ブリバエフは今季、東響のオペラシティ・シリーズに客演しているほか、それ以前は仙台フィルを皮切りに、日本のローカル・オーケストラを次々に制覇してきた人物である。よって、指揮者の名前を検索すると、実際に耳にした人の感想を「聞く」こともできるだろう。

その分、「こんなソリスト/指揮者が呼ばれたのか!」というサプライズムはないにしても、予想のつきやすいシーズン構成となっている。

【目玉公演1 東響:シェーンベルク 期待】

いくつか、注目の公演を挙げよう。まず、われらが東響の公演では、やはりユベール・スダーン指揮の公演に注目が集まることになる。あとで述べるが、来季の東響はシェーンベルクの初期作品を軸に、主流となるサントリー/川崎定期公演のプログラミングをおこなっている。そのなかで注目されるのは、シェーンベルクのモノ・オペラ『期待』と、フォーレの『レクイエム』が組み合わされたコンサートだろう。前者は小規模な公演でピアノ伴奏などで上演される機会は意外に多いが、国内オーケストラのプログラムにあがることは少なかった。

モノ・ドラマを演じるのは、ドイツやイタリア、スペインで活躍してきたロシアの歌手、エレーナ・ネベラである。どちらかといえば外国ベースで地位を確立した人だが、マリインスキー劇場に逆輸入されて客演ソリストになっており、来冬の劇場引っ越し公演でもリヒャルト・シュトラウス『影のない女』の皇后役にクレジットされているため、そのときの評価もみてみたい。フォーレの『レクイエム』も人気のある曲目でありながら、国内のプロ・オーケストラがやることは珍しい。ウィーン、そしてフランスのプログラムに自信をもつスダーンにとっても、日本国内でのイメージにおいて一歩を踏み出すプログラムとして注目される。

【目玉公演2 読響:原爆をめぐって】

読響では、カンブルラン&下野コンビの対話が面白いが、そのことはあとで書くとして、そのなかで異彩を放つのは、なんといっても正指揮者、下野竜也の指揮によるジョン・アダムズ『ドクター・アトミック』シンフォニーと、團伊玖磨の交響曲第6番「HIROSHIMA」の組み合わせだと思う。アダムズの歌劇『ドクターアトミック(原爆博士)』は(残念なことに日本以外の)海外でポピュラーな演目であり、オッペンハイマーを主人公に原爆誕生に至る科学者の想いを、政治的な思惑との対峙を絡めて描いていく作品であるようだ。

一方、團の「広島」シンフォニーは、英国の詩人、エドマンド・ブランテンの詩をソプラノ独唱がうたう形であるが、それを交響曲化した作品ということだ。広島市にある詩碑にもその文句が文語訳で刻まれており、例えば、「ヒロシマよりも/誇らしき/名をもつまちは/世にあらず」などという文句が感動的である。読響は近年、ロジェストヴェンスキーの指揮でシュニトケのオラトリオ『長崎』を上演した手柄もあり、その公演はいまもって思い出ぶかい。下野はいわばこの偉業を受け継いで、原爆を落とした側と落とされた側の両方からのアプローチを試みることになる。

【目玉公演3 都響:ボージチ再び】

都響では、11月の定期に登場するヴォルフガング・ボージチに注目したい。ボージチは知名度はないが、コンヴィチュニー演出で注目されたグラーツ歌劇場からの輸入プロダクション、ヴェルディ「アイーダ」の特別公演でピットに入った都響と顔合わせをしている。2008年の共演から3季ぶりの登場となるが、当時の演奏を私自身が聴いたわけではないので何ともいえないが、ネット上の評判はすこぶる優れたものであるため、これは聴いてみたいところだ。A/B両定期に登場し、メインがリヒャルト・シュトラウスの『シンフォニア・ドメスティカ』であるというのも趣味がよい。

【日本全国から】

ここで東京を含む、日本全国区に目を向けてみたい。来年はリストのメモリアル・イヤーということもあり、2つの楽団がこの作曲家の大曲『ファウスト』シンフォニーを取り上げる。といっても、それらを指揮するのは同じ人物だ。都響のレジデント・コンダクターにして、日本センチュリー響(今季までは大阪センチュリー響)の音楽監督でもある小泉和裕がその人である。それぞれ楽団とコネクションのある合唱団を引き連れて、東西で同じプログラムを扱うという面白い事態になっている。

今季の東京公演の衝撃も記憶に新しい関西フィル(期初は実質2月)は、オーギュスタン・デュメイがディレクターとなって初のシーズンを迎えるが、現代ものなどを含めた意欲的なプログラム構成が見て取れる。しかし、そのなかでも燦然と輝くのは、室内楽とオーケストラ作品(それも舞台関係)、コンチェルトを組み合わせた4月の公演だ。ゲストはピアノのピリスと、チェロのゴムツィアコフ。これにデュメイが加わってのベートーベンのトリオなんて、なんと羨ましいプログラムだろう。

今シーズンの成果から、もはやデュメイ&関フィル「お得意の」といっても過言ではない舞台ものからは、同じくベートーベンの序曲『レオノーレ』第3番。そして、メインでは再びピリスが舞台に戻っての、ベートーベンのピアノ協奏曲第4番という素晴らしいプログラムになっている。

3年の任期を終え、一定の成果を挙げたティエリー・フィッシャーが名誉職に棚上げされた名フィルでは、後継候補となりそうな中堅どころが4人登場する。群響や都響にも登場したドリアン・ウィルソン。ヨーロッパ室内管でオーボエを吹いていた経験をもつ新進指揮者、ダグラス・ボイド。オペラ指揮者として一線級のフレデリック・シャスラン。神奈川フィル、東響、広響、都響などに相次いで客演し、名フィルにも再登場となるゴロー・ベルクである。

このなかでは、私はウィルソンの録音(群響)をもっており、とても良い指揮者だと感じているので、注目したいところだ。ソリストは仙台の国際コンペティションを制したピアニスト、ヴァディム・ホロデンコ。

九響では、チェコの「新しい」スター指揮者、ラドミル・エリシュカの再登場に沸くだろう。札響の来季プログラムは未発表と思うが、恒例どおり期初を飾るであろう4月、九州にも渡るというわけだ。メインは既に大阪センチュリー響の公演で披露済み、また、来月の東京フィル定期で披露することになっているドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」。そのエリシュカ翁は現在、来日中だ。27日、札幌で1回きりの公演をこなしたばかりだが、東京に「下って」東京フィルを指揮するという手はずになっている。

なお、エリシュカは来季、2011年10月の大フィルへの2回目の客演も決まっており、こちらでは札響とN響で披露した『わが祖国』を指揮する予定である。

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