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2010年12月22日 (水)

2010 コンサート・ベスト10! 【ノミネート】

毎年、恒例で発表している年間コンサートのベスト10。一応、順位はつけますが、どれも私にとって糧となる公演だったということで、ほぼ価値は変わらないとみてください。今シーズンは外国のオーケストラや劇場、オペラの鑑賞が少なく、国内のオーケストラとピアノの公演が多くなっています。要するに先立つものがないという事情もありますが、それ以上に、興味のある公演がなかったわけです。すこし惜しいかなと思ったのは、ヤンソンス&RCOのマーラーぐらいで、あとは、オーストラリア・バレエ団も経済事情とスケジュールが合えば行ったのになあと思いますが、それでも、どうしても惜しいような公演だったら、やっぱり万難を排して行っていたはずです。

率直にいって、これまでほぼ10年弱、コンサートに通いつづけた感想として、外国のオーケストラや劇場を聴きにいっても、さして満足できるものは多くなかったです。ウィーン・フィルの普通の公演にひとつ行くことを考えれば、同じ対価で10のコンサートに行ったほうが、はるかに大きな感動を味わえますし、経済的にも効率がいいと信じます。逆に、たとえ10のコンサートを我慢してでも、ウィーンのほうにという想いが働く演奏会の内容でもないということです。

一方、「所詮は日本人である」という偏見を捨てれば、日本のオーケストラは各々、とても素晴らしいパフォーマンスをしています。たまにはスカもありますが、それよりは感動的な公演のほうがはるかに多く、表現が繊細で、指揮者のいうことをよく聞く日本のオーケストラを身近に聴けることは、私たちにとって大きな福音なのです。多少、コケる部分があっても、全体から見れば些細なことです。それ以上に、いい仕事をやっていますから。

私には最後の「フラブラ」(フライング・ブラボー?というそうだが、妙な言葉である!)で演奏会が台無しになるなんて考えるようなメンタリティはないし、傷口に塩を塗り込むように、ミスったところを書き立てる趣味もない(それはミスがわかるということをアピールしたい人の、ひとつの自己実現にすぎないのでは?)。そんな演奏の中身とすこしも関係のない、些末な問題に拘泥するのは愚かです。

また室内楽や鍵盤の公演では、ウィーン・フィルを聴く10分の1の対価で、世界レヴェルを体験することができるのです。むしろ、こちらに足を運ぶのは、音楽ファンとして当然の行動だと思っていますが、どうでしょうか。

私にとって音楽を聴くことはただの趣味でも、楽しみでもなく、もっと真剣な、人生のセイシュンを賭けるに足る対象とみていています。私はそれでメシを食う実力はないかもしれないですが、大学で文章創作についてみっちり考えましたし、いまも芸術家としてのこころをもって、自分が選んだコンサートに接しています。つまり、私は雑誌で論評を書いているようなジャーナリストや評論家と同じになりたいわけではなく、そうした二次創作とは無関係に、楽曲や作曲家、それらを包む時代について、また、それを演奏する音楽家について、自分なりに考えたいと思っているのです。

誤解を避けるために一言するならば、私はそのことによって、これらの書き手に対して優位に立とうとするつもりはないです。彼らがそれぞれに備えている知識や経験を軽くみるわけでもありませんが、いずれにしても志がちがうのです。私は音楽家のパフォーマンスが良かったか悪かったかということより、その人たちが何をやりたくて、それをどう表現したかに興味があって、それを見極めようといつも考えています。

私がいちばん知りたいことについて、これらの書き手はあまりにも無関心です。彼らの多くは、音楽を通じたコミュニケーション能力に不足していると感じます。能力はあっても、それを生かそうとする意志が弱いのでしょう。

もちろん、私は自分の考えなどはとるに足りないと思っており、私がこの芸術分野で、なにか大きなアンガージュマンをできるとは思っていません。どちらかといえば、私はマスの一部として、みなさんと一緒に考えたいと願っています。自分のブログがそのためのヒントになれば、こんな幸福なことはありません。そして、つまらない音楽家が跋扈することなく、こころある良い音楽家が守られ、ひろく栄えるように。また、ひとりでも多くの音楽家のこころをなるべく正しく捉まえて、紹介できるように、ほんの僅かでも力を尽くしたいと願います。

つまり、私の究極的な目標は音楽家たちのこころと技術のマップを描くことであり、自分の、あるいは多くの人たちの恣意的な判断を排したところでのみ可能となる、音楽家と聴き手の真のコミュニケーションを実現するところにあります。そのためには、私のセンスはもちろん未熟であり、大いに磨かれる必要があります。だから、こんなに多くのコンサートに足を運ぶ必要があると理解してください。しかも、私がヒストリカルよりも「いま」に興味がつよいのはそのためです。

いまは、無駄にウィーン・フィルなど聴いている場合ではない。世界の、もしくは世界レヴェルのオーケストラを聴くことには、もちろん、一定の価値がありますが、現時点で私の優先したい順位はそこにはないのです。有名な音楽家の演奏を聴くことも興味の対象ではなく、なにか馴染みの楽曲の演奏を次々に追っかけていくようなこともちがうと思えます。

私はもっと自分に刺激を与え、賢くしてくれるような公演を選びたい。今回、ノミネートの公演を見ていて、改めて、そのことを思いました。それでは・・・。

【1月】
 ○東京オペラ・プロデュース ジョルダーノ『マダム・サンジェーヌ』
 ○オペラ彩 ヴェルディ『仮面舞踏会』
【2月】
 ○アンサンブル・ノマド フェルドマン クラリネット五重奏曲
 ○L.セゲルスタム&読響 シベリウス フィンランディア
 ○H.ニケ&コンセール・スピリテュエール パーセル『アーサー王』
【3月】
 ○A.ゼッダ&東京フィル ロッシーニ 『ギョーム・テル』
 ○K.バンキーニ&アンサンブル415 ボッケリーニ『スターバト・マーテル』
 ○ジ・アート・オヴ・チッコリーニⅡ
 ○飯守&東京シティフィル バルトーク『青ひげ公の城』
 ○S.スクロヴァチェフスキ&読響 シューマン 交響曲第3番
【4月】
 ○高関&KST マーラー 交響曲第4番
 ○下野&読響 ドヴォルザーク 交響曲第7番
 ○R.エリシュカ&札響 ヤナーチェク『シンフォニエッタ』
            &ドヴォルザーク 交響曲第5番
【5月】
 ○前田二生&新東京室内orch ビーダーマイヤー時代の音楽
 ○H.スダーン&東響 ベルリオーズ イタリアのハロルド
 ○ヴィオラ・スペース(第二夜) S.マーロフ エーレンフェルナー新作
         &A.タメスティ ノイヴィルト作品 
【6月】
 ○河合優子 ショパン ピアノ協奏曲第1番(室内楽伴奏)
【7月】
 ○R.キュッヒル&加藤洋之 ベートーベン ヴァイオリン・ソナタ
 ○M.プラッソン&二期会 ベルリオーズ『ファウストの劫罰』
 ○U.ヘルシャー&A.v.アルニム シチェドリン&シューマン
【8月】
 ○小森輝彦&服部容子 シューマン リーダークライス op.39
 ○サントリー・サマー・フェス J.ハーヴェイ 委嘱新作
【9月】
 ○B.ボニー&F.キャンベル グリーク ソルヴェイグの歌 ほか
 ○A.デュメイ&関フィル ベートーベン 交響曲第8番
           &ヴァン・ダム最後のオペラ・ステージ
 ○下野&読響 ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容
 ○モディリアーニSQ ラヴェル 弦楽四重奏曲
【10月】
 ○濱倫子(pf) スクリャービン ソナタ第3番
 ○P.レーゼル(pf) ベートーベン ソナタ28番
 ○R.ブレハッチ(pf) スケルッツォ第1番&バラード第2番
 ○瀬尾久仁&加藤真一郎ピアノ・デュオ
    シューマン 2台ピアノのためのソナタ
 ○P.バドゥラ=スコダ(pf) シューベルト D960
 ○新国バレエ ビントレー振付 Still life at the Penguin Cafe
【11月】
 ○F.アーヨ(vn) ブラームス ソナタ第3番
 ○クァルテット・エクセルシオ シューベルト 死と乙女
 ○蓼沼恵美子&ヘンシェルQ シューマン ピアノ五重奏曲
 ○S.カンブルラン&読響 ハイドン 「朝」「昼」「夕べ」交響曲
 ○H.スダーン&東響 ブルックナー 交響曲第8番
【12月】
 ○R.エリシュカ&東京フィル スーク おとぎばなし
              &ドヴォルザーク 交響曲第9番
 ○M.プレスラー&A.メネセス ベートーベン チェロ・ソナタ全曲

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