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2011年4月 1日 (金)

仙台フィルが音楽家のボランティアのためのセンターに!

【自粛ムードから一転!?】

昨日、今日あたりから、急に震災の影響による「自粛ムード」を解放する動きが表れてきました。私も3月24日の記事で早くも、「自分たちが平静を保ち、その活動をなるべくいつもどおりに守ることが我々の生活、ひいては、日本のあるべき姿を守ることになるのだということのほうが、はるかに大事なことだと思わないだろうか」と書いていますので、この動きを逸早く先取りしていたことになりそうです。しかし、その私からみても、この「解放」運動には若干の違和感を受けるところがあります。

確かに桜開花の便りも伝わり、気候が温まってきて電力の心配がいったん遠退いたこと、被災地の物不足も少しずつ解消しつつあること、余震等も大被害を心配するほどのものではなくなっていることなどを踏まえ、日本人のマインドを向上させようとする意味で、この動きは必ずしも悪い性質のものではないと思います。しかし、それにしても、仮にも節電啓発担当の蓮舫大臣が上野公園等での花見自粛を訴える石原都知事に対して、権力による自由な行動の制限は最低限にすべきと発言するなどして、自粛ムードに掉さすような状況まで日本が復活しているとは、思える状況にはないのもまた事実です。

もっとも、蓮舫女史の発言は都知事選における石原候補に対するネガティヴ・キャンペーンとしての意図を多少なりとも含むものであることは明確でありますが、それ以外のメディアも、そろそろ「自粛」の経済的な弊害についてこぞって報道するようになっており、上野動物園でパンダ公開が始まるなどして、いささか楽観的な空気が広がりつつあることには懸念を示したいと思うのです。

現に、原発の状況は以前よりも冷却が安定的に進みつつあり、核に対するコントロール体制は整備されつつあるとはいえるものの、未だ楽観を赦すような状況ではありません。海洋汚染や土壌汚染についてはモニタリングと情報の分析が遅れており、風評被害に翻弄される産地の人たちや漁民たちだけが割を食う状況になっています。多少は良くなったとはいっても、被災地の避難所の状況はまだ改善したとは言い難い状況にあります。液状化の被害を受けた地域もようやく専門家の調査チームが入ったところで、インフラの回復はまったく進んでいないと聞いております。こういう状況では、まだ基本的には「自粛」という立場が維持されるべきであり、ひとりひとりが少しずつこころを開いていくのが本当のはずです。

メディアや政治家が、大っぴらにマインドの開花を呼びかけるような時期では、まだないのでしょう。

【募金箱を免罪符にしてはならない】

音楽会もだんだんに予定どおり催されるようになり、ズビン・メータやプラシド・ドミンゴといった大物外国アーティストも来日を決意してくれるという状況になっています。各演奏会ではこぞって募金箱が設置され、僅かずつとはいえ、我々の良心が被災地にカタチとして届けられる状態になっています。しかし、例えば、募金箱が「免罪符」のようになってはいけません。音楽家も聴衆も、なにかいいことをしている気分になり、それだけでこころが満たされるようなことがあってはなりません。募金箱にお金を投じるときに、私たちは自分に問いかける必要があります。私たちがそこにお金を投じることが、免罪符を買い求めた人たちの心理と同じかもしれないということを。我々のこころが被災地や、そこで被害に遭った人たちと離れないように、私たちはまず、自分たちのことを厳しく監視していく必要がありそうです。

【仙台フィルが音楽家のボランティア・センターに】

さて、被災地に本拠を置く仙台フィルでは、6月までのシーズンが正に津波によって押し流される苦難の時期にありながら、彼らのもつ音楽家としてのこころと、目の前にいる被災者のこころとをダイレクトに繋ぎ合わせようという試みが始まっています。彼らは「音楽の力による復興センター」事業を設立し、日本中から集められる寸志を自主財源に加え、被災地に音楽を届けるという活動を企図しています。センターの代表には東北大経済学部の教授で、せんだい・みやぎNPOセンターの代表理事でもある大滝精一氏が就任し、仙台フィルの団員が被災地をまわって演奏し、また、志ある音楽家と連携した演奏活動を展開していくことをめざしています。

彼らに必要な支援は、3つあります。1つは音楽という技能を生かして、被災地に音楽を届けたい音楽家による人的な支援(ボランティア)です。仙台には、「仙台国際音楽コンクール」や「せんくら」という基盤もあることですし、これまで仙台に関わってきた音楽家の協力も大いに求められるところでしょう。例えば、コンクールの第1回の覇者で、その後、パリ・コンセルヴァトワールの教授職、さらにフランス放送フィルのコンマスとなってコンクールのレヴェルの高さを象徴する存在となっているスヴェトリン・ルセヴは、5月にソウル・フィルのコンマスとして来日すると思われるので、是非、仙台にも顔を出してほしいと思います。

私はこれらの文化的な資源がともに手を結び、よりレヴェルの高いパフォーマンスを提供していくことが、後々まで被災者のこころに響くものになると信じます。繰り返しになりますが、多くの実力ある音楽家の支援を求めます。もちろん、単にレヴェルの高いものばかりではなく、幅広く、誠意に満ちた活動こそが、多くの被災者に勇気と希望を届けることになります。

もうひとつは我々にもできる支援で、移動などにどうしても必要な実費を賄うための、財政的な支援です。仙台フィルでは、当面、満足な公演ができず収入を得るための事業がおこなえない中では、団員を食わせていくだけでも大変な負担となります。それを省みず、被災地を元気づけていく活動に向かう仙台フィルのことを、ひとりでも多くの人たちが支援していくべきです。

最後に、こうした活動をおこなえる場所を提供してくれるみなさんを探しています。キックオフとなる第1回のコンサートは3月26日、「つながれ心 つながる力」をスローガンに、仙台フィルによる復興コンサート「鎮魂、そして希望」と題しておこなわれ、仙台駅ちかくの寺院にあるバレエ・スタジオが会場となりました。このような会場を確保できないことには、演奏もままならないわけですし、人々が集える環境でなくてはならないわけです。

仙台フィルではこのようなコンサートを、次々に開催していきたい構えでいるようです。このような良心は将来、決して報われないはずがないと信じております。

【コンクールは4月7日にチャリティ公演】

なお、先程、すこし名前を出したコンクールのほうでは、過去のコンペティションの出場者らによるピアノ公演を、4月7日におこなうことが決まりました。ただし、これは現地ではなく、東京でのチャリティ公演です。佐藤彦大、佐野隆哉らが参加しますが、入賞者は佐藤だけというのが、若干、物足りないところです。また、収益金は仙台市に寄付するとありますが、上のような連携を探るべく、上記の復興センターに寄付するのが望ましいのではないかと思います。経済的にはそれほど大きくない音楽分野の限られたリソースは、なるべく集中していくことが望ましいと思われます。

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