2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ

« 広瀬彩 モノ・ドラマ 君を待つ~カミラとヤナーチェク コトホギ第1譚 7/5 (ソワレの部) | トップページ | フー・ツォン ショパン マズルカ集 (Fdyderyk Chopin Institute) »

2011年7月 8日 (金)

七夕の日に届いた訃報 神さまはヨセフ・スクを天上へと召された!

悲報が届いた。チェコを代表する世界的なヴァイオリニストで、指揮者、教育者としても活躍したヨセフ・スク(一般的にはヨゼフ・スーク)氏が7月6日、長い闘病の末に、天に召されたとの凶報である。享年は81歳だった。

氏は1929年8月8日、プラハ生まれ(ゾロ目と縁があるようだ)。アントニン・ドヴォルザーク(ドヴォジャーク)の息女と結婚した、同名の作曲家は祖父にあたる(つまり、ヴァイオリニストのヨセフはドヴォルザークからみると曾孫)。この父スクの作品『おとぎ話』は昨年、東京フィルの演奏会で、ラドミル・エリシュカ氏の演奏で印象的に紹介され、N響でも再度、披露されることになった。

当人はヤロスラフ・コチアンの手ほどきを受け、チェコに伝わるヴァイオリニズムの正統的な継承者として、ソロ、室内楽、劇場の各分野で広く活躍し、スーク・トリオは早くも1952年に結成、のちには、スーク室内管を結成してリーダー兼指揮者として活躍した。とりわけ、「スーク・トリオ」の名声は日本でも高く、この分野ではボザール・トリオとともによく知られている。特に、結成メンバーのスク、フッフロ、パネンカというトリオは、単に演奏が良い/悪いというよりも、歴史的な存在として位置づけられる。なお、コチアンは当時、一世を風靡したオタカル・シェフチークの一派に属し、同門のヤン・クーベリックと並ぶ重鎮である。ヤンは言うまでもなく、名指揮者、ラファエルの父親である。シェフチーク一派の活躍により、「弦王国」としてのチェコの時代が幕を開けた。

スクの最後の演奏は2002年で、私は残念ながら、実演に接する機会はなかった。近年は長く患っており、闘病むなしくこの世を去った。

この情報は先日のバレエ公演で、私の愛情を受けることになった指揮者の大井剛史氏のツイッター記事によって知ることになった。非常に早い情報であったが、私の不手際で、私の記事は遅くなった。これだけの大ヴァイオリニストの訃報だが、まだ触れているページも少ないので、取り上げることにした。

例えば、NMLでは、スク・トリオのものはないが、5種類の録音が登録されている。ナクソス・レーベルでは、ハプスブルク統治下のチェコで活躍したベンダ一族の録音を、作曲家の子孫と一緒に演奏している。ヴァンガード・クラシックス・レーベルでは、モーツァルトの協奏曲ボックスで、スク室内管を率いて演奏したものが収められている。協奏交響曲では、ABQのトーマス・カクシュカと組んだ夢の録音があるが、2人とも既に亡くなってしまったわけで、いささか耳にするのが寂しいディスクとも思える(内容はとても素晴らしいのだが!!)。BBCレジェンズ・レーベルでは異色の組み合わせ、英国の名指揮者、マルコム・サージェントとの共演によるベートーベンとドヴォルザークの協奏曲が収められている。

いちばんマニアックなのはトッカータ・レーベルの録音で、ピアノのアシュケナージと組み、ドヴォルザークの作品を彼自身がアレンジしたものが収録されている(8日からはトップ・ページにて掲載されている)。『ジプシーの歌』(7曲)、『聖書の歌』(10曲)などのライン・ナップ。この頃のアシュケナージはとてもよく、弦のような響きを出したり、多彩な表現で作品に寄り添う力量が突出している。これに対してスクのヴァイオリンは都会的に洗練されているが、そうであっても怜悧ではなく、屈託のない明るい表情づけが際立っているようだ。それはマイナー・コードの曲でも同じことである。

その響きは現代的な趣向と重なりあうところも大きく、あまり誇張のないフレッシュな音楽づくりもあって、今日のヴァイオリニストにとっても参考にしやすい対象ではなかろうか。一方、こうしたシェフチーク派の特徴は、一時期、個性的なハイフェッツらの「巨匠」的演奏に対しては批判にも晒された。こうした個性的なスタイルは、トリオ形式における中間部のようなもので、スクの時代と、我々の時代が同じ主部を構成しているという感じがしないこともない。そう考えてみると、既述のように、もはや長く現役ではなかったとはいえ、ひとつの時代が過ぎ去った印象を与える悲報であった。

« 広瀬彩 モノ・ドラマ 君を待つ~カミラとヤナーチェク コトホギ第1譚 7/5 (ソワレの部) | トップページ | フー・ツォン ショパン マズルカ集 (Fdyderyk Chopin Institute) »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/543421/52149367

この記事へのトラックバック一覧です: 七夕の日に届いた訃報 神さまはヨセフ・スクを天上へと召された!:

« 広瀬彩 モノ・ドラマ 君を待つ~カミラとヤナーチェク コトホギ第1譚 7/5 (ソワレの部) | トップページ | フー・ツォン ショパン マズルカ集 (Fdyderyk Chopin Institute) »

ツイッター

  • ツイッター

最近のコメント