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2011年9月16日 (金)

バイエルン国立歌劇場 80人の団員・スタッフが来日拒否 6月会見とは矛盾

9月23日、エディタ・グルーベロヴァ出演の『ロベルト・デヴェリュー』で初日を開けるバイエルン州立歌劇場の来日公演から、80人の団員・スタッフが離脱し無給休暇をとるとの報道が出た。理由は、はっきりと原発であることがわかっている。震災・原発事故後におこなわれた初めての海外劇場の引っ越し公演、米国のメトロポリタン歌劇場の公演では大量の歌手がキャンセルするなか、ピーター・ゲルブ総裁が衆論をまとめて劇場は丸ごと来日、今回のような醜態を演じることはなかった。これにつづき、今度は欧州の主要劇場の来日であったが、こちらは歌手の変更はここまで、原発を理由としたものはなかったが、劇場内部での離反を抑えられなかった。

実は、6月の「ぶらあぼ」誌などによると、ニコラウス・バッハラー総裁や指揮者のケント・ナガノ氏の参加した会見では、こうしたことは起こらないと明言していた。バッハラー総裁は、「すべてのスタッフとチームが来日に賛同し、日本公演の実現を嬉しく思っている」と発言し、ドイツでの事故報道は苛烈だが、スタッフを安心させることに成功したと述べているのである。

6月の時点と比べて、9月の時点での事故影響や放射能の飛散状況が悪化しているという認識は、少なくとも私たちにはない。例えば、東京・新宿などで観測されている毎日の放射線量は、事故以前のものと比べて、ほとんど変わりのない数値である。もちろん、食料や水の汚染を含めた放射能被害に関する絶えざる警戒は必要としても、現時点で東京で生活できないような汚染が進んでいるわけではない。

そうなると、6月の会見と、現に、いま起ころうとしていることが整合しなくなってくる。バッハラー総裁は、「すべてのスタッフとチーム」が来日に同意したと明言している。そうは言ってないが、「だから、みなさんは安心してチケットをお求めください」ということだろう。幸い、私はその口車に乗ってはいない。しかし、多くの人たちがバイエルンからの芸術と友好の使者たちを、心待ちにしていたにちがいない。バッハラー総裁は、嘘を言ったのだろうか。すべてのスタッフではなく、そのうち、ほんの一部のリーダーたちを「すべて」取りまとめたにすぎなかったのか?

現在のところ、主催者であるNBSや、バッハラー総裁による釈明はない。このことがわかったのは15日と伝えられているが、NBSは今日に至るまで、そのことについて一言のアテンションも記していない。ツイッターにもホームページにも、一切、何も書いていない。何事もなかったかのように。

バッハラー総裁が公式に、公演の正常的な形での維持を約束した以上、スタッフの不足分を臨時エキストラでかき集めても、その約束どおりとは言えないであろうから、説明責任が問われることになる。両者がどのような対応をとるのか、今後、注目されるところだが、一体、どうすべきなのか。私が主催者ならば公演は中止にし、会社の存亡をかけて劇場に損害賠償をするのがお客様のためには一番だと思う。それで会社が潰れるなら、神さまが「要らない」と仰っているのと同じである。しかし、実際にはそうはならず、いつもどおり、「払い戻しには応じられません」の一言だろうか。だからというわけでもないが、私はNBSの公演など、滅多にいくものではないと思っている。

それにしても、METのゲルブ総裁はコテコテのビジネスマン、バイエルンのバッハラー総裁はあくまで演劇家。その差が出たのかなと思う。

なお、ドイツでいえば、東京・福島間の距離、約200kmは、ベルリンから、ヴォルフスクブルクやドレスデンくらいの距離に当たる。そんなことは、彼らもよく知っているのかしらん。私たちがよく接する欧米中心のメルカトル図法の地図では、その点が意外に伝わりにくいものだ。私の知人から聞いた話だが、そのまた知人で岐阜にお住まいの方でチェコ出身の方があるそうだ。原発事故後、チェコに住むおばあさんから電話がかかり、それはもう、家族を喪ったかのように悲痛な面持ちでかけてきたそうだ。それはあとで笑い話になるが、岐阜と福島ではあまりにも遠いのである。しかし、あの地図ではもう一息で飛んでいけそうなくらいにちかそうであることも確かだ。世の中、いろいろな意味で欧米中心にできていることの弊害でもあるような気がした。

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コメント

私はこの夏、渡独中に、ドイツ人の管楽器団員から直接聞きました。今回、バイエルン国立歌劇場の各団員は、日本ツアー参加について、個人判断で選択できることになったのです。オケ団員は、約6割が来日拒否。第1バイオリンは6名しか行かず、フルートは全員いかないと言ってました。もうバイエルンとは名ばかりの、エキストラ集団なのです。特に在独オケや在独オパーの日本人団員やプラクティカント、さらには日本に帰国した元団員や元プラクティカントにまで出演依頼が来ているのです。
この事実を隠したまま公演を強行するのは、大問題だと思います。

情報をありがとうございます。そのような個人的な伝聞を検証すべくもなく、その真偽を決めるための根拠を私はなにも持っていませんが、仰るようなことが本当だとすれば、これは由々しき事態であると感じます。ただ、300名は来るのですから、夏の時点とは異なり、第1ヴァイオリンが6名しか行かないというような状況は、辛うじて回避されたのかなという印象を抱きます。

まったく期待はできませんが、こういうときこそ、音楽ジャーナリストたちが真実を調べ、公演の実態を報じるときです。

NBSはこの問題については、一切、「問題ではない」というスタンスで来ており、歌手が変わったときのようなコメントもありません。NBSやバイエルン州立歌劇場の「公演維持」の基準がこれで許されるなら、極端なはなし、劇場管から半分、あとの半分を東フィルの団員にしても問題ないことになってしまいます。コーポレート・ガバナンスという点からみても、両者の考え方には社会通念上、とても許されないレヴェルの問題があるように思われます。

バッハラー総裁は、公演レヴェルには問題ないと重ねて発言した模様です。どのようなメンバーが来日を拒否したかも公開せず、まるで、下っ端のどうでもいいメンバーだけが来日しなかったような雰囲気にしようとしています。私はこの公演に行くわけではないですが、日本のクラシック産業をめぐる問題としては、これまでのキャンセル騒ぎ云々とは異質の問題を含んでいるように感じます。

問題提起に賛同し、先にコメントされた”とおりすがり”さんのご意見と同趣旨なのですが、コメントを寄せさせて戴きます。
この問題については、6月頃に、ミュンヘンの知人(ドイツ人)から、来日拒否者を「有給休暇」扱いにするか、「無給休暇」扱いにするか、調整が行われている、と聞いていました。
その知人は、来日メンバーは、2番手、3番手の演奏家になるだろうと予想しています。それなのに日本ではS席が5万円以上でチケットが売られていることに、驚き呆れていました。

ご投稿、ありがとうございます。NBSは後日、ステートメントを出すそうです。しかし、原発問題における政府の説明と同様、信任を得るためには、もはや遅すぎるという印象を抱きます。たとえどんな内容であれ、15日に決まったことをすぐに公表しなかったツケとして、いまの批判があるのだと主催者は理解すべきですね。

まことに失礼な書き方ですが、嘘八百である可能性もまったくは否定できないものの、「とおりすがり2」さんの書き込みを信用すれば、バッハラー総裁が「変更によって来日したメンバーはすべて、バイエルン国立歌劇場のメンバーか、我々の歌劇場でしばしば仕事をしているアーティスト」だというのと矛盾しません。

この致命的な遅れを取り戻すためには、形ばかりのステートメントではなく、400人の名前や配置をすべて公表するなどの手段が必要だと思われます。映画のエンドロールのようなものでありますから、それを公開することで何か問題があるとは思えません。

また、どのような立派なステートメントが出るにしても、本文で書いた6月会見における発言との矛盾は、もはや解決のしようがありません。「すべての」と、バッハラー総裁は仰ったのです。このことは、どうやっても変わりません。

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