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2011年10月31日 (月)

第5回定期演奏会 「ドイツのオケで聴きたい音楽」

私の定期演奏会も、第5回を迎えた。今回は、「ドイツのオケで聴きたい音楽」をテーマとした。音楽のインターナショナル化が進み、最高のオーケストラと普通のオーケストラの差は小さくなり、幸か不幸か、オーケストラのもつローカル性も薄れてきた。そのなかで、まだしも特徴を出しやすいのはドイツのオーケストラである。しかし、そういうオーケストラがせっかく来日しても、前半は著名なソリストによる名曲の協奏曲、後半はベートーベンかマーラーの交響曲第5番というのでは、行く気も失せるというものだし、向こうさんも「よし!」という感じにはならないだろう。

そこで、私は、ベルリン・フィルやドレスデン・シュターツカペレのような名門でなくてもいいから、よく訓練されたドイツのオーケストラ(例えば、ショルテスが率いるエッセン歌劇場のようなオケ)が来るとして、どんなプログラムならば違いを出してくれるだろうかと考えてみた。

【プログラム】 (→NMLページへ)
 1、ウェーバー ジングシュピール『魔弾の射手』序曲
  (W.フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル)
 2、メンデルスゾーン 序曲『海の静けさと幸ある航海』
  (H.ツェンダー指揮バーデン・バーデン南西ドイツ放送響)
 3、ウェーベルン パッサカリア
  (G.ベルティーニ指揮ユンゲ・ドイチュ・フィル)
 4、ワーグナー 歌劇『タンホイザー』序曲
  (若杉弘指揮ドレスデン・シュターツカペレ)

  ≪ 休 憩 ≫

 5、ブラームス ピアノ協奏曲第2番
  (pf:C.アラウ A.ギブソン指揮スコティッシュ・ナショナル管)

まず、私にとってドイツ本流の原点を置くべきだと考えたが、それはどうしても、ウェーバーの『魔弾の射手』でなければならないように思った。それは正確には、ドイツ・オペラの出発点なのかもしれない。『フィデリオ』という実験を経て、最初に生まれたドイツらしいオペラがこれである。その序曲ともなれば、ドイツのオケの本領が生きてくるはずだ。録音にはフルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルのものを選んだので、まずは盤石の滑り出しだろう。だが、最後のほうはまだイタリアの、そして、そこの伝統に習ったモーツァルトの影響が濃厚である。

2曲目はやや変化球だが、メンデルスゾーンの『海の静けさと幸ある航海』を選んだ。いま述べたように、『魔弾の射手』序曲の最後がイタリアの音楽のDNAを引いていることを重視し、その最高の後継者として、私は同じDNAから情報を得ているユダヤ出自の作曲家、メンデルスゾーンに登場を願った。同名の素材はベートーベンも選んだもので、プログラムに厚みが加わる。正に想定のようなオーケストラ、バーデン・バーデン南西ドイツ放送響を振る職人的な指揮者にして作曲家、ハンス・ツェンダーの録音はこのストリームに負けない輝きを放つ。

3曲目は、ウェーベルンの『パッサカリア』である。後期ロマン派から新ウィーン楽派の初期にかけても、ドイツのオーケストラにとっては重要な守備範囲だ。正にその結節点で、ウェーベルンが作品番号1として描いた『パッサカリア』の演奏を聴けば、とても多くのものが得られるにちがいない。ウェーベルンも初期にはこのような手応えのある作品を書いており、クラスタ化したあとの作品も含め、私のウェーベルンに対する愛情につながっている。日本とも関係の深い故ガリー・ベルティーニ氏の録音があったので、思わずセレクトしてみた。

前半の最後は、やはりワーグナーだろう。私の浅い歴史のなかで、もっとも印象的だった『タンホイザー』序曲は、ハインツ・ワルベルク氏が最後にN響を振った演奏会のときのことだ。ああいう味わいを、もういちど・・・否、それを越えるような力づよい演奏を味わいってみたい。そうした私の夢を果たしてくれそうな指揮者やオーケストラは、年を追うごとに減っていくように思えてならないのだが。私たちのいちばん身近にいた人で、そのための技術を身につけていた人といえば、やはり若杉弘氏であったろう。東ドイツ、ゼンパーオーパー時代の凄烈な演奏で聴いていただきたい。

しかし、この演奏会で聴衆の目当ては、これから登場するクラウディオ・アラウであるかもしれない。バックハウスとか、いろいろと聴いてはみたが、ブラームスの2番においては、バックも含めて、アラウによるこの録音がもっとも魅力的に思えた。

私はここで、「ドイツのオケで聴きたい音楽」のメインを協奏曲で締めるという大胆な発想を起動した。私は来日のオーケストラで、協奏曲がプログラムに入ることは望まない。しかし、これならば入れてもいいという曲が4つほどある。ベートーベンの「皇帝」とヴァイオリン協奏曲、そして、ブラームスのヴァイオリン協奏曲とピアノ協奏曲第2番だ。そのうち最後のものがもっともドイツ的な味わいという点で、深いということは争う余地もないほどハッキリしている。

アラウは周知のピアニストだが、ツケのサー・アレサンダー・ギブソンは、スコットランドにおけるクラシック音楽の地歩を築いた音楽家といっても差し支えない。なにしろ、ロイヤル・スコティッシュ管を25年間にもわたって指揮しつづけたのだ。1977年にナイトに叙せられるや、スコットランドの音大で院長となって活躍したりしている。シベリウスやエルガーの録音でオールド・ファンにはよく知られているようだが、ここでその良さを確認してもらうのも一興だろう。ブラームスのツケはどの曲も難しいが、このピアノ協奏曲第2番は、私が指揮者だったとしたら、いちばんやりづらい曲だろうと思う。こういう曲こそ、ドイツのオケで聴きたい!

さて、次回は、「名曲と向きあう」というテーマで、「名曲」の味わいを最大限に引き出すためのプログラミングについて考えてみたいと思う。

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