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2012年1月23日 (月)

国内オーケストラ事情 (前編)

来季のプログラムも開いてくる時期なので、全国のオーケストラのホームページを巡回してみたところ、結構、知らないことがたくさんあって驚いたり、楽しみだったり、ときには残念だったりした。総論として思ったことは、オーケストラにとって厳しい情勢下、みんな、よく努力しているが、それも限界まで来ている感じだということ。あと何年、私たちはオーケストラの演奏を楽しむことができるのだろうか?

【札響】

札響では、来季のプログラムが開いた。エリシュカの演奏会については、前にも書いたので繰り返さない。正指揮者である高関健が退任するはなむけに、ベートーベンの『荘厳ミサ曲』が演奏されるなどして豪華だ。11月の定期では、ジョン・リルがベートーベンのピアノ協奏曲第5番の独奏で登場する。リルは31日の公演を聴く予定なので、ワタクシメの拙い印象にすぎないが、ここのページで取り上げるのを参考にしてくださるとありがたい。尾高はBISアーティストらしく、シベリウス・ツィクルスをスタートする。札幌には、相応しいかも。

札響は知らないうちに、何人かの主要なプレーヤーが抜けた。まず、コンマスを務めていた三上亮が、昨年の10月末で退団した。今後は、福島を起点とするヴィルタス・クァルテット中心の活動となるのだろうか。また、ヴィオラ・パートからも、首席の小峰航一が6月末に退団している。オーディションを通して入団した全国的にも貴重なヴィオラ奏者で、看板奏者でもあっただけに、退団は残念だ。今後は首都圏を中心に、ソロ活動やアンサンブルでの活動をおこなうようだとの情報だったが、今回の巡回で1月から京都市響の首席奏者に就任していることが判明した。

【仙台フィル】

昨年は半期の活動を棒に振り、ボランティア演奏等で地域に尽くした仙台フィル。もう半期を無事に再開し、来季もラインナップが発表された。『キャンディード』序曲が演奏されたり、これまた退任する山下一史が『メタモルフォーゼン』を弾く以外はイミシンなところもなく、震災とはさほど関係のないプログラム構成である。都響で共演した小泉和裕とピアノのマルクス・グローが今度は仙台で再共演するのが面白そうだ。演目は、ブラームスの2番。

なお、ゲスト・コンマスだった伝田正秀が昨年いっぱいで退団した。東京を拠点に、ソロ活動をおこなうとの次第(小峰といい、みんな東京に集まってくる!)。また、ヴァイオリン教室を開講するらしい。

節分の2月3日には、サントリーホールで「絆コンサート」を開催。「復興支援に感謝をこめて」ということだが、復興はまだ道半ば(にも達してない)。運命の3月11日には何もやらないが、7日と12日ほかにチャリティ公演。

【山響】

飯森範親体制が順調な山響。来季は40周年で、ワーグナーの『ダッチマン』をコンサート形式で上演する。ダッチマンは当ページでもお馴染みの小森輝彦で、船長が小鉄和広という低声が充実。テノールのエリック役には演技力の高い経種廉彦とキャストは良い。山形は行ってみたい土地のひとつで、これを機にという想いも出てくるほどだ。

また、楽団の創立者で、当季の公演で引退とも言われていた村川千秋が、再度、定演に登場するのも話題性がある。どういう指揮者かは全然知らないが、地域貢献には高い役割を果たしたのも間違いないことだ。村川氏が兄弟の透監督の映画音楽を振った音源を見つけた(youtubeへ)。ただし、楽団は東響のようだ。

【群響】

沼尻竜典体制で2期目を迎える群響は、まだ来季のプログラムは開いていない。昨年の4月からなので今更の情報だが、広上淳一が「友情客演指揮者」に就任している。未確認情報だが、「首席客演」をオファーしたところ、広上側からこの名称を提案されたという。「友情」ゆえにノー・ギャラで振ってもらえるわけでもなかろうし、実質は変わらないようだ。しかし、沼尻といい、広上といい、群響は日フィル人脈に侵食されているような・・・。

【名フィル】

名フィルは、独特のプログラム運営を志向したティエリー・フィッシャーの後任に、常任指揮者としてマーティン・ブラビンスを起用することを発表した。なんと、地味な・・・。レパートリーが広く、現代音楽を中心に膨大なディスコグラフィを誇るエンサイクロペディア的な指揮者。1959年生まれ、現在はほかにロイヤル・フランダース・フィルで首席客演指揮者を務めるとの次第。これは以前に、フィリップ・ヘレヴェッヘが率いて話題を集めたオケ(現在のシェフはデ・ワールト)。2代つづけて、英国系のトップが楽団を指導する。

そのブラビンスのファースト・シーズンは、指揮者・ソリストともに主張がある。チェロのヨハネス・モーザーには、特に注目。ピアノのスドビンも登場する。アツモンの指揮によるマーラーの交響曲第3番、尾高忠明によるエルガーの交響曲第3番の補筆完成版、下野竜也の重々しいプログラムなどが目につく。なお、名古屋は2011年、アマチュア・オーケストラによるマーラーの交響曲ツィクルスがおこなわれたというような土地柄。前任のティエリー・フィッシャーも、引きつづき活躍する。

団員は、トゥッティ・レヴェルの入れ替わりが激しい。コンマスには広響でも同職を務める田野倉雅秋が就任して、3人体制となる(客演のホーネックは除く)。

【京都市響】

広上体制で安定している京都市響。ヴィオラ首席に小峰航一が就任したことは、札響のところで書いた。

来季のプログラムもオープンしているが、このなかで注目なのは、かつての音楽監督である井上道義指揮の公演だ。まず、プーランク『2台ピアノと管弦楽のための協奏曲』に、私の推奨する瀬尾久仁&加藤慎一郎デュオが登場。メインも、地元出身の谷村由美子が出演して、プーランクの『スターバト・マーテル』なので、これも思わず腰が浮いてしまう。谷村は地元出身とはいっても、フランスなどで活躍し、あのコルボにも高く評価されている。もちろん、私も大好きな歌い手だし、曲目自体も、私にとっては好物だ。

2月1日、福島で支援コンサートをおこなう。

【広響】

秋山体制も順調な広響。来年は、8月の原爆忌あたりがとても盛り上がりそうだ。とはいっても、来季予定はまだオープンになっていない。

2008年から首席客演指揮者として活躍するエヴァルド・ダネルによって、ドヴォルザークの交響曲第9番の録音がリリースされた。多分、近いうちに注文することになるだろう。ダネル氏は、チェコとは微妙に折り合いのわるいスロヴァキアの出身であるが・・・。

ダネルによる録音:レスピーギ『5声の協奏曲』

9月に事業報告・決算報告書を公開。見にくいが、結構、細かく書いてあってオーケストラの運営がわかる内容だ。仕分け対象になったことから、情報の透明性を高める狙いか。やはり、国や県からの補助金への依存度は高いのがわかる。

【九響】

こちらも、秋山体制で落ち着いている。人事では、昨年6月に東京フィルでヴァイオリンのフォアシュピーラーを務めていた近藤薫がコンマスで入団している。

来季プログラムも開いているが、さほど見どころがないように思った。東響のソリスト紹介でも知ったが、ソリストで登場するヴァイオリンの岡崎慶輔は2010年、チューリヒ歌劇場のコンマスに就任しているそうだ。なんとも情報の遅いことで恐れ入る。ベルリン・フィルの樫本もさることながら、岡崎のほうもかなりの快挙。

ヴェルザー=メスト音楽監督&ペレイラ支配人で黄金時代を築き上げたときほどの勢いはないが、経済安定度の高いスイスで、若者などの支持もとりつけて成功している劇場で、欧州でも特に価値を高めている。チューリヒは大型の劇場ではなく、わが国の新国のような規模の劇場であるため、その鋭い経営手法は参考になるはずだ。現在の首席指揮者はガッティだが、音楽総監督になれず、来季からファビオ・ルイージにポストをさらわれるということで、評価はイマイチだったのか。ルイージにとっては、ゼンパーオーパーとか無理なポストを離れて、ちょうどいいサイズのところに来たので復活に期待したい。なお、インテンダントはホモキが務めるが、ベルリン・コーミッシェオーパーで一定の成果を収めた。同地で音楽面のトップにいたカール・セントクレア(日本では無名だが、向こうではかなり売れている指揮者)は、ホモキの退任に伴い契約延長オプションを行使しないことを決めている。

おっと、筆が逸れた!

なんとなく書いていたら、橋下ショックで激震の大阪についての話題が抜けていたが、次回、加筆する予定なのでお楽しみに。

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