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2012年2月 2日 (木)

国内オーケストラ事情 (後編)

日本センチュリー響

大阪府の丸抱えから切り離され、実質的な手切れ金を突きつけられて民営となった旧大阪センチュリー響は、日本センチュリー響としての最初のシーズンを過ごしている。経費削減や収入増を懸命に図ってはいるものの、このままでは、20年あまりも培ってきた音楽活動の基盤は失われかねないという。「音楽活動」とは地域活動を含む、すべてのことだ。そんな状況でも、仙台フィルへの復興支援金の募金活動をつづけるなどして、まったく涙ぐましい限りである。

定期演奏会の内容も策士の小泉にしては保守的ではあるが、ソリストにはパユや今井信子の名前もみえ、妥協ばかりではない。特別演奏会は関西圏より以西で増加傾向にあり、増収の道が探られているのが具体的に窺えるだろう。小泉和裕が大車輪の働きをみせ、楽団のために頑張っている印象だ。府営のときと同じようなアウトリーチも維持しており、あとすこし情報面が充実してくれれば、支援の声も広がるのではなかろうか。

大阪フィル

大阪フィルも、橋下ショックによって難しい状況を強いられている。大フィルの場合は民間などからの手厚い支援があるため、自治体への依存度は相対的に低い。しかし、そうはいっても、貴重な財源を絶たれるのは厳しく、来季は音楽監督を退任させる。後任の発表もなく、その状態で来季のプログラムがオープンしているのだから、当面、音楽面のトップは置かれない公算がつよい。

また、同時にこの体制を支えた首席コンマスの長原幸太が3月末をもって退団することも発表された。関東(要するに東京だろう)に拠点を移し、活動を見直したいとの次第だ。これによって、コンマスは首席客演の崔文珠だけになってしまうが、それでどういった運営をするのかは疑問である。崔も本業は、なんといっても新日本フィルにあるはずだから。

来季の公演では、準・メルクルの登場が目玉になりそうだ。演目は、『リング』からの抜粋。そのほか、超ベテラン指揮者(というよりはオーボイストとして有名)で、水戸室内管への客演以来、日本での活動が増えたヘルムート・ヴィンシャーマン。都響でポストを得たフルーシャ。N響、都響、NJPなどに出演を重ねるイオン・マリン。評価うなぎ上りで、国内では師匠ゆかりの日フィルにポストも得た山田和樹など、東京とのコネクションがつよいアーティストが多く出演する。また、大植も引きつづき出演をつづける。

関西フィル

関西では、もっとも調子がいいのではないかと思われる楽団。デュメイ=藤岡=飯守体制は表向き、とてもバランスのいい役割分担で運んでいるように見え、それはシーズン・プログラムの面でも窺える。2月期初の変わった運営で、間もなく新シーズンが始まるが、デュメイは好き放題に音色と構造のバランスを追求しつづけ、飯守泰次郎はワーグナー、ブルックナーといったドイツものでの注目公演をつくり、その他、北欧音楽や現代ものを藤岡が担当するという具合になっている。そのほかの指揮者では、阪哲朗と飯森範親が登場するのみだ。

定期では、ドヴォルザークの『ロマンス』(D.ワルター編曲によるヴァイオリンと管弦楽によるヴァージョン)と、メンデルスゾーンのニ短調のヴァイオリン協奏曲(弦楽合奏による伴奏のほうの作品)、さらに、ビゼーのシンフォニーが組み合わされたコンサートが面白い。また、「いずみホールシリーズ」全4回では、そのうち3回にデュメイが弾き振りで出演。ベネルクス3国でともに声望が高い今井信子と共演したり、ヴィルトゥオーゾ・ピアニストであるルイ・ロルティとのジョイントによるコンサートをやるのが注目される。

関西フィルでも、復興支援のための募金活動はつづいている。ただし、当初、10万単位で集めていた支援金が、現在では数千円レヴェルと萎んでいるのは少し残念だ。これは、どこの募金でも同じ傾向であるが。

デュメイとともに世界に羽ばたくという目標には至っていないが、非常に良い活動をしている楽団のうちのひとつであると思う。今後のインプルーヴに期待したい。

大阪交響楽団

大阪シンフォニカーから名称変更した大阪響は、ドイツの地方劇場を経験してきた児玉宏による体制が順調に来ており、音楽監督・首席指揮者の任期が2016年まで延長となった。同響は民間出資のオーケストラで、ほかのところよりは規模が小さく、その分、フレキシブルな運営ができている。他のオーケストラでは忌避されるようなマイナー曲をプログラムに載せることで、大きな話題を呼んでいる。今季もヴァンサン・ダンディ、ミヤスコフスキ、矢代秋雄、プフィッツナー、グラズノフなどが取り上げられたが、来季もその傾向は変わっていない。

例えば、5月定期でプログラムされたリヒャルト・ヴェッツ。彼はチェコともポーランドともドイツ・オーストリアともつかないシレジアの生まれで、室内楽の作品で知られるトゥイレの弟子。苦労したが、最後はエアフルトでそれなりに名士となった(先のリンクはプログラムされた交響曲第2番)。そのほか、ヒンデミットのヴァイオリン協奏曲や、ウォルトンの交響曲第1番スヴェンセンの交響曲第2番など、演奏機会僅少の作品が並ぶ。ブルックナーでも0番は珍しいし、有名な『展覧会の絵』でさえアシュケナージ編だ。ピアニストとしても高名なウラディミル・アシュケナージは、よくよく知り尽くしたこの曲を編曲して、自らの指揮で初演したのである。

目玉プログラムは、2つある。1つは、ここのところ、なにかと話題になる佐村河内守の交響曲第1番だ。全聾で広島出身の被爆2世というジャーナリスティックな話題性があり、作風も調性に根差したトラディショナルなわかりやすさで人気がある。支援者のひとり、大友直人が指揮する。もう1つはプフィッツナーの管弦楽伴奏つき歌曲だ。このページでもお馴染みの小森輝彦を独唱に、今季も取り上げたが、好評だったのか、来季も別の作品を取り上げる。ドイツ宮廷歌手の声で聴けるプフィッツナー。貴重である。

なお、この3月には、本名徹次の指揮により、原発「被災地」の郡山で復興コンサートをおこなう予定となっている。

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コメント

お邪魔いたします。
レコード芸術2月号
特集:リーダーズ・チョイス『読者が選んだ2011ベスト・ディスク30』
15位 佐村河内守 交響曲第1番《HIROSHIMA》
レコード芸術36年の中でこのベスト30に現代作曲家作品が入ったのは歴史的な快挙だそうです。
私個人もこの曲の素晴らしさを痛感しております。
10月が楽しみです。モツ40番&佐村河内1番・・・・どちらも全曲演奏!これは凄いコンサートになりそうです。

追伸すみません。
佐村河内守=盲目×
佐村河内守=全聾○
です。言いそびれていましたm(__)m

OPCさん、ご指摘、ありがとうございます。自分でも気づいていて、直すところでした。佐村河内さんに関しては、新たに大谷康子さんらが室内楽のほうで録音を入れたそうです。交響曲よりは、どちらかというと、こちらに関心がいきます。2月29日にはライヴでやるそうです。東京ですが。

10月24日は佐村河内守さんも来られるんですね。

凄いコンサートになりそう。


滅茶苦茶興奮しています。

そうですか! いまのところ、全部、立ち会っておられるのではないでしょうか。

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