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2012年6月11日 (月)

特別演奏会 「海」

このカテゴリーは、2011年11月以来、休眠状態になっていた。ちょっとした思いつきで始めたことだが、なかなか手間がかかるので、以前より多忙になって手が回らなくなっていたのだ。本来は「名曲と向きあう」をテーマに、第6回の演奏会を開催するところだが、今回はもうすこしライトな「特別演奏会」として、海にまつわる作品を集めてみた。

海にまつわる作品は、実に山ほどあって、海のように広い。有名なところでは、ドビュッシーの『海』リムスキー・コルサコフの『シェヘラザード』。メンデルスゾーンやベートーベン、シューベルトなどがテーマにしたゲーテの『静かな海と幸ある航海』。ブリテンの歌劇『ピーター・グライムズ』のなかの「4つの海の間奏曲」などなど。そのなかから、今回は4曲を選抜してお送りする。

【プログラム】(→NMLページへ)
1、ブリッジ 交響組曲『海』
 (J.ファレッタ指揮ロング・ビーチ響)
2、武満徹 放送用ドラマ付随音楽『波の盆』より
 (尾高忠明指揮札響)
  -intermission-
3、ワーグナー 歌劇『さまよえるオランダ人』序曲
 (G.レーヘル指揮ブダ・ペスト響)
4、J.シュトラウスⅡ ワルツ『北海の絵』
 (J.クライツベルク指揮ウィーン響)
5、E.ベーエ オデュッセウスの帰還
          ~交響詩『オデュッセウスの航海から』
 (W.A.アルベルト指揮ライン・プファルツ州立フィル)

最初の曲は、フランク・ブリッジの交響組曲『海』である。シンプルな作風がメインであるブリッジの作品にしては規模の大きな作品で、ドビュッシーと、弟子のブリテンをつなぐような見事な作品だ。ドビュッシーのシンボライズ的な響きの強烈さと比較して、もっと優しく、穏和な色づかいで、私にはむしろ、その点が好みに思えるのだ。日本には都響に客演したことがある、ジョアン・ファレッタの録音を採用した。

2曲目は、武満徹。『波の盆』への挿入曲である。先年、亡くなられた実相寺昭雄が監督し、倉本聰が脚本を書いたテレビ・ドラマに接したことはないが、戦争によって引き裂かれた家族が亡き妻であり母親である人物の魂に与て救われる物語で、ハワイを舞台としているようだ。武満の作品はその遠回りする人間の精神の旅を、この世のものではないものも含めてイメージしたような美しい音楽になっている。行きつ帰りつする波のイメージと、魂の出し入れをする盆のイメージが鮮やかに溶けあっているが、あくまで、それをイメージしているのは生きている人間というわけだ。尾高忠明指揮による札響の演奏がよい。

3曲目はご存じ、ワーグナーの『オランダ人』序曲。もっとも強烈に海のうねりを表現する音楽として思いつく。日本で有名ではないが、ハンガリーの名匠、ジェルジ・レーヘルの録音を敢えて選んでみた。オケは下手だけれども、そのなかでよくやっている。今回、並べた録音はロング・ビーチ響札響ブダ・ペスト響ウィーン響と、高名なオーケストラ(ウィーン響は例外?)による演奏ではない点も共通点になっているが、そうは感じさせない素敵な録音ばかりをチョイスしている。

この演奏会、前半/後半の曲目でそれぞれ、最初の曲はプレゼンスがつよく、激しい曲想をもち、次の曲はそれよりも柔らかいという特徴をもっている。『オランダ人』序曲と対照的に並べたのは、ヨハン・シュトラウスⅡのワルツ『北海の絵』である。指揮は昨年、若くして世を去ったヤーコフ・クライツベルクのものを選んだ。ペンタ・トーン・クラシックス・レーベルの主要アーティストだったクライツベルクは、このレーベルの力量により、録音に恵まれてないと思うのだが、この『北海の絵』は奇跡的に素晴らしい出来となっている。先の「盆」のイメージと組み合わせ、昨年、亡くなったアーティストのうちのひとりを起用した。

最後は、珍品をご紹介。私が「海」をイメージするいろいろな言葉を検索ワードに打ち込んで、ようやく見つけた納得の1曲だ。エルンスト・ベーエの「オデュッセウスの帰還」である。ベーエはドイツのミュンヘン生まれ、トゥイレの弟子で作曲も学んだが、どちらかといえば指揮の分野で活躍した人物ということである。作曲家としては中途半端な業績におわったが、代表作となる『オデュッセウスの航海から』という管弦楽作品は4部構成で90分ちかくもかかる超大作だ。その第4部となる「オデュッセウスの帰還」を今回は取り上げた。リヒャルト・シュトラウスとほぼ同時代人であるから、当然と言えば当然だが、保守的な作風を示している。ドイツ的な堅固なオーケストレーションを採用し、硬派にドラマ性を実直に抉っているのが面白いが、最後まで緊張が途切れず、意外と豊富な曲想の流れに惹かれてしまうのだ。

なお、この録音を指揮するヴェルナー・アンドレアス・アルベルトはドイツのCPOレーベルで、珍しいドイツの作品ばかりを丹念に録音している職人的な指揮者である。日本では、新日本フィルや東京シティ・フィルに客演している。

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