メッツマッハー ベートーベン ミサ・ソレムニス ほか 新日本フィル サントリー定期(初日) 10/3
【祈りの実現のために何ができるか】
ベートーベンの『ミサ・ソレムニス』は、数ある宗教曲のなかでも独特のポジションを占めている。一応、自らのパトロンであったルドルフ大公のオロモウツ大司教就任を祝って献呈を申し出たという作曲動機は明らかになっているものの、実際、作曲は大公の就任には間に合わず、実際の作品を聴いてみても、確かに敬虔なところは感じられないわけでもないけれど、バッハのロ短調ミサ曲のように素朴なものではなく、テクストの扱い方も伝統的なミサ曲とは異なっている。例えば、最後にアーメンを唱えると、普通、その曲のなかで後に言葉を継ぐことはないが、ベートーベンの場合は、もういちど大事な句が継がれることで、ギョッとさせるような効果をもたらす。しかし、強調される語はほぼ決まって、「ミゼレーレ」と「パーチェム」という具合である。
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