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2017年12月 3日 (日)

【番外記事(フットボール)】清水エスパルス、小林監督の評価について

フットボール「J1」リーグの清水エスパルスは、2017年のシーズンを8勝16敗10分の勝ち点34、年間14位で終えた。最終節の白星でサンフレッチェ広島を抜き返し、順位をひとつあげたが、ドロー、もしくは敗戦なら、ヴァンフォーレ甲府にキャッチアップされて、16位でJ2降格という憂き目も考えられる結果だった。シーズン前、第1目標は予想残留ラインの勝ち点40であり、それを越えたら、一桁順位でのフィニッシュをめざすというものだったから、目標をショートし、例年ならば、降格もあり得た結果である。上位と下位の差が大きく、下位3チームの結果があまりにも悪かかっために、エスパルスは命拾いした。降格チームの大宮アルディージャは前年5位と実力を高めていて、降格は免れたものの、エスパルスより下の結果におわった広島も実力の高いチームだっただけに、エスパルスは運がよかった。

シーズン後の最初の注目点は、小林伸二監督の去就をどうするかということである。契約は1年残っているといわれるが、小林体制にはチーム内外から批判が大きいのも理解できる。左伴繁雄社長にも、悩ましい選択が待ち構えている。監督の去就に関する論点をまとめてみよう。

【小林監督の問題点】

1、結果
 a 年間順位14位、最終節まで残留争い
 b 勝ち点34、第一目標より6ショート、一桁順位から10ショート
 c 年間8勝は、降格シーズンの2014年にも劣る
 d 得失点差-18は、降格の2014年と同じ水準
 e ホームで僅か3勝(カップ戦を含めても5勝)
 f カップ戦はすべて控え選手の調整に使われた
 g 開幕戦、静岡ダービー×2、ホーム最終戦と節目の試合を落とす
2、練習
 課題のセット・プレーやカウンター対策が1年経っても課題として残った
3、ゲーム・マネジメント
 a 交代策でペースを変えたり、ひっくり返した試合は少なかった
 b 熟考されたものながら、意図の伝わりにくい交代策
 c 相手戦術に対応した柔軟な戦い方に欠ける
 d 4-4-2(世界的にも、トレンドは3バックのシステムに移行)
4、評価
 a サポーターからは概ね、3:7ぐらいの割合で続投を望む声は少数派
  *人柄等を慕っている場合でも、交替を望む人も少なくない
 b スポンサー等からも厳しい声が寄せられていることが推測できる

【小林監督の成果】

1、戦術の一貫性
2、若手の成長に大きく寄与(松原、北川、金子、デューク)
3、鄭大世など、主力選手からの信頼が厚い
4、各選手がマルチ・ポジションをこなし、柔軟性が高い
5,HTでの修正は有効だった場合が多い(逆にいえば、指示待ちだった選手たち)
6、人柄はチーム内外から評判がよい
7、一桁順位から10差で、目標達成が可能なチーム力はつくっていた
8、上位チームからも勝ち点を獲得

【その他の評価材料】

1、怪我人、コンディション
 a 序盤から怪我やコンディションの問題、倫理的なトラブルなどで、選手が揃わず
 b 主力級の長期離脱も多かった
 c 医療体制の充実、コンディショニング・スタッフの増員も功を奏せず
2、補強戦力
 a 合流が遅く、怪我などもあって、一定の戦力になるまで時間がかかった
 b 獲得した選手の質にも問題があり、フィットしなかった
 c 戦力の逐次投入は非効率的で、対応が後手後手にまわった
3、観客動員数ランキング
 前半戦のデータで、J1=12位
4、年俸ランキング
 第12位 *大世ひとりで全年俸の1/6を占める
5、監督の契約
 あと1年分、契約済みとの情報

【個人的な意見】

 思い出してみよう。シーズン前、エスパルスは昨年のチーム2位のスコアラーであった大前元紀をフリーで失い、代わりの選手は獲れなかった。ようやく第7節から、新戦力のチアゴ・アウベスが合流し、左足の強烈なキックなどを武器に、一挙に4ゴールをあげたが、それから10試合で欠場となった。その後も厳しい環境のなかで、よく残留まで漕ぎ着けた。
 降格した2014年と同様に、小林監督は序盤戦から、ない駒をやりくりする戦いがつづき、シーズン終盤までに、万全の体制で臨めた試合は数えるほどだ。右のアタッカーとして期待していた野津田の補強は嵌らず、ボランチに転用したり、新10番として期待された左アタッカーの白崎が離脱すると、デュークが代わりに重きを占めるようになった。CB角田が事件で出場できなくなると、二見が急造のストッパーに起用され、その後、長いシーズンを支えた。チーム創設25周年を記念する7/8のゲームでガンバ大阪を下し、0-2のスコアから逆転した8/9のセレッソ大阪戦ぐらいまでは持ち堪えたが、その後、踏ん張りのきかない試合がつづき、2度の3連敗などで順位を落としていった。守備の要だった犬飼や10番の白崎、エースの大世など、替えの効かないはずの選手が長期離脱に苦しみ、その間をデュークやカヌ、二見、長谷川などが埋めるしかない厳しい台所事情がつづく。
 残留という結果も他チームの成績による好運からきたという面も大きく、勝ち点や得失点差は、降格の年とさほど変わらない。多くの選手が離脱する状況は大榎時代と変わらず、多少の医療面、コンディショニングのスタッフ増員でも改善できなかった。
 しかしながら、小林監督はキャプテンの大世をはじめとする主力選手の信頼を喪わず、最終節まで規律を失うこともなく、前向きに戦い続ける集団を維持することができた。阪倉コーチともよく相談して、熟考の上で決断された交代策などはよく見ると、論理的に根拠のあるものであることが分かるが、それも十分に嵌まらず、戦術の一貫性を守る観点から、相手関係によるメンバーの変更や、1試合ごとのスペシャル戦術などはとらない点も、例えば、終盤のコンサドーレ札幌戦で、相手の狙いどおり、長身のジェイの動きにペースを左右されるような拙い結果をつくってしまった。
 しかし、小林監督は今後、長いスパンでチーム力を上げる布石を多く打ったのも確かである。中でも、松原、金子、そして、北川の成長は、サポーターのこころを捉えている。北川は最終節で全得点に絡み、走行順位もチーム3位と、シーズン開始当初の彼からすれば、信じられないような成長を遂げている。松原は明らかに清水のストロング・ポイントを成し、J1の2万ゴールを挙げた金子も、持ち前の走力と守備力に加え、前線とサイドで起点になれる特徴を確立した。特に最後の2節では、金子がRMFに入り、つなぎ役とフィニッシャーとして大きな役割を果たした。新潟戦では1ゴールを挙げ、最終節は前線で絡んで、2点目の増田のゴールを呼び込んでいる。金子の突破からこぼれたボールを北川が反転してシュートを狙ってもよかったが、冷静にボールを見送ってスペースを守り、フリーの増田が強烈に蹴り込んだ。
 今後のシーズンはベテラン・中堅選手が次第に引退、放出されていくなかで、ユースや高校・大学から、将来性の大きな新人が次々に加わってくることが予想される。数年後、我々は楽しみな素材を多く手にしていることだろう。先の3人に加え、今季はデュークも大きな進境をみせて、エスパルスにとって掛け替えのない選手になっており、未来の戦力を育てていくためにも、小林監督の手腕は見逃せない。小林監督よりも優秀な指導者を見つけることはそもそも難しく、ゼロからのスタートを選ぶのであれば、勝ち点34の基盤から始めるほうが効率的だ。1年の契約が残っているならば、監督よりも医療・コンディショニング体制のさらなる充実や、選手への投資に充てるほうがチームの強化にはダイレクトにつながっていくだろう。

【退任ならば】

 仮に退任という結論になったとしても、小林監督をつよく支持する層でさえ、その決断は止むを得ないと感じるだろう。もっとも苦渋をのむのは、J2から1季での昇格をともに実現し、監督につよい信頼と配慮を示してきた左伴社長であろう。シーズン前には、チームの体制発表に臨むときに、通常は監督の同席を求めるところ、シーズンの戦略を必死に練っている監督に負担をかけないために、監督の役割を免除したほどだ。チームの不振のなかでも、選手の信頼が厚い監督を交代させることをちらつかせなかった。
 清水のOBで、チーム・アンバサダーを務める斉藤俊秀氏のコーチ就任が噂されており、それが事実ならば、小林監督の続投、不振が続けば、斉藤コーチへの交代という道筋がみえるような気がする。
 退任の場合には元東京、甲府の指導者で、JFAの育成世代でも役割を果たした城福浩氏の名前が挙がっているが、いかにも観測気球的な情報である。しかし、城福監督とした場合、戦術的にも3バックへの移行が視野に入っていることが窺われる。斉藤も現役時代は、4バックと3バックの両方を体験している。3バックの場合、松原はより攻撃的な役割を与えられることになろう。
 来季の体制としては、札幌が前浦和のペトロヴィッチ監督(四方田現監督はコーチとして残留)、FC東京が長谷川健太監督、東京五輪日本代表が森保監督の起用を決めている。エスパルスの後任としては、大宮を率いた澁谷監督なども適任だろう。ドイツ・ブンデスリーガ 1.FCケルンのシュテーガー監督が退任かもということで、彼のような人材を招くことができたら、素晴らしいのだが。私の考えとしては小林監督は続投、ほかでチーム力を上げるのが最適解と思うのだが、いずれにしても、決断は早くしないといけない。監督人事でゴタゴタすると、補強も決まらず、新しい監督の望まない選手を補強する結果につながる可能性もあるからだ。

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