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2018年9月

2018年9月20日 (木)

高橋悠治(pf)&波多野睦美(Ms) シェーンベルク 架空庭園の書 @ムジカーザ 9/19

【私の旅が始まった】

高橋悠治(pf)と波多野睦美(Ms)によるシェーンベルク『架空庭園の書』の演奏は、代々木ムジカーザを舞台にたった50席という贅沢さだったが、どこか、イメージどおりにはならなかった。客観的に楽曲分析するほどの楽識はなく、私の拙いイメージなど全く問題にはならないだろうが、そこはかとなく思う点を書き残してみたい。最初に言っておくが、イメージどおりではなかったが、まったく胸に響かなかった演奏というのともちがう。おわったあと、私の心臓はこころなし強いリズムを打っていた。それなのに、右の脳も、左の脳も、まだ鍵をかけたままだ。

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2018年9月12日 (水)

二期会 プッチーニ 三部作 『外套』『修道女アンジェリカ』『ジャンニ・スキッキ』 ダミアーノ・ミキエレット(演出) 上江隼人/北原瑠美 組 9/8

【幸福に生きるのは難しい】

ジャコモ・プッチーニは生前から尊敬され、裕福になった珍しい作曲家のうちに入るが、その私的生活は必ずしも幸福とは言い難かったようである。大恋愛をして、相手の夫の死を待って結婚したほどの奥方はなぜか猜疑心が強く、無欲の使用人を追い詰めて死に至らしめるほどであって、この事件はプッチーニに大きなトラウマを与えた。甘い音楽と壮麗な音楽で売ったプッチーニであるが、どこか寂しく、孤独な愛を多く描き、移ろいやすく、ときに残酷な人情を描くことでは右に出る者がない。『つばめ』でオペレッタ風の軽い作品を請け負ったはずのプッチーニだが、彼のスタイルは、この作品をもの悲しい別れの作品へと変えてしまった。ヴェルディの歌劇『トラヴィアータ』のプッチーニ的解釈ともいえる『つばめ』では、主要役の娼婦がヴィオレッタのように愛へと殉じることもなく、若い相手を捨ててしまうだけである。熱い夢もいつかは冷めるのか、あるいは、相手の将来の幸福について忖度したせいなのか。

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2018年9月 6日 (木)

東京現音計画#10 コンポーザーズセレクション5:山根明季子 7/11

【すべてはパチンコ・パーラーから始まった】

サックスとテューバの仲間、鍵盤楽器、打楽器の奏者と電子音響エンジニアによる室内楽ユニット「東京現音計画」が、コンポーザーズ・セレクションの第5回として、山根明季子を迎えて演奏会を行った。山根はクラシック音楽の枠にはまらないファッショナブルで、ポップ(押し出し)のつよい作品を早い時期から発表しており、1980年代の生まれながら、既に日本の作曲家のなかで、旗手となり得る活躍ぶりをみせている。ベテランでは湯浅譲二、細川俊夫、西村朗、野平一郎、棚田文紀らのベテランが国際的に一定の評価を受ける一方、若手では藤倉大を筆頭に、酒井健治などが台頭する昨今ではあるが、それらの裏の旗手となっているのが山根や、その夫である川島素晴、三輪眞弘、小池稚子といった独特の音楽言語と批評眼を備えたユニークな作曲家たちである。

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イングマール・ベルイマン 映画『処女の泉』 @横浜シネマリン

【思考の組み替え】

恵比寿での上映が8/24日におわったベルイマンの映画を追いかけて、横浜シネマリンにて『処女の泉』を拝見しました。これまで『叫びとささやき』『ペルソナ/仮面』と観てきたわけですが、これらのなかでは圧倒的にわかりやすい作品といえます。正に寓話的な内容で、グリムの脚色以前の残酷な赤ずきんのはなしと似ています。ビルギッタ・ペテルソン(ペッテション)演じる思春期の美少女が惨殺され、ワーグナーの歌劇『ワルキューレ』のように自宅へと舞い込んできた仇を母親が見抜き、父親がこれを討つのですが、この間、神様は何にもしてくれず、最後、遺体の下から泉を湧かす奇跡だけを起こすというオチがつきます。単純な話ゆえ、プロットも早くから予想でき、大きな意外性もありません。

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