下野竜也 紀尾井シンフォニエッタ東京 リハーサル
今週末、公演予定の紀尾井シンフォニエッタ東京(KST)のリハーサルを見てきた。今回は、下野竜也の指揮で、ドヴォルザークの「伝説」がメイン。これを5曲ずつ両端に振り、ジョリヴェ「ファゴット、ハープ、ピアノと弦楽オーケストラのための協奏曲」と、モーツァルト「ファゴット協奏曲」をサンドウィッチするという凝ったプログラムになっている。ゲストは、ファゴットのダグ・イェンセン。
さて、この日の練習は2日目に当たる。午前のみの公開で、「伝説」の5、6、7、8,4、3番が取り上げられた。ネタバレ的な要素があるので、あまり細かくは書かない。だが、ピアノ二重奏曲から作曲者自身によって、小編成のオーケストラのために編曲された曲にもかかわらず、非常にゆたかな表情をもった演奏になりそうである。
下野によるプローベは初めてみたが、非常に熱心に研究して臨んでいることが分かり、これならば、百戦錬磨のKSTのメンバーにも十分な納得と、インスピレーションを与えることができるだろう。指揮者としては当然だが、1つ1つのパートの組み立てがしっかりあたまに入っており、指示も細かい。ときどき、自分の声で歌いながら具体的にイメージを伝えていくときの、その響きの魅力的なこと!
練習の手際もよく、コミュニケーション能力にも優れているようだ。例えば、弦のメンバーへの指示出しでは腰を落として目線を合わせたり、気になる部分がある人がチョロチョロやっていると、しっかり拾って、簡単な指示を与えたりするあたりに、その要素が感じられた。KSTのメンバーも、今回はかなりまとまりのある響きを出しており、高いレヴェルからスタートした濃厚なプローベになっている。本番では、この曲へのイメージを塗り替えるようなガッシリした響きになるだろう。
この練習をみていると、下野の有能さは疑う余地もない。KSTへは3度目の登場となるが、前回、メンデルスゾーンを演奏している。この「伝説」も、メンデルスゾーンのストリング・シンフォニーや、いくつかの交響曲を思わせる部分もあり、そのような意味での選曲となったのかもしれない。
私は初日に窺うことになったが、本番がますます楽しみになった。
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