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NML 聴取ログ

2011年8月 4日 (木)

痛快! ヴロンスキーのマーラー「悲劇的」 (Arco Diva)

ナクソス・ミュージック・ライブラリー(NML)に、新たに Arco Diva というレーベルが仲間入りした。これはどうやらチェコの音楽マネジメント会社のようで、CDパヴリッシャー事業も柱のひとつである。さて、このレーベルから掲載された録音のひとつに、ペーテル・ヴロンスキー(あるいは、ペートル・ヴロンスキー)という指揮者が、モラヴィア・フィルを振ったマーラーの交響曲第6番「悲劇的」の録音があるが、これを今回、取り上げることにしたいと思う。

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2011年7月11日 (月)

フー・ツォン ショパン マズルカ集 (Fdyderyk Chopin Institute)

ショパンの演奏の真髄について知りたいならば、私は、次の3人のピアニストの録音を聴けばよいと思っている。それはグレゴリー・ソコロフ、アダム・ハラシェヴィッチ、そして、フー・ツォンだ。ソコロフからは端整なショパンの作品の構造美について。ハラシェヴィッチからはショパン演奏に是非とも必要な、技巧やリズム、フレージングのルールの厳密さについて。そして、フー・ツォンからは、ショパンにおける力強さということについて学べるであろう。

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2011年6月22日 (水)

モルゲンシュテルン・トリオ スメタナ ピアノ三重奏曲 (Azica Records)

プレスラーに象徴されるように、私はアンサンブルのピアニストが好きである。トリオ・ヴァンダラーのヴァンサン・コック、ガブリエル・ピアノ四重奏団の金子陽子、ベートーヴェン・トリオ・ボンの濱倫子、レヴァン・フランセにおけるエリック・ル・サージュ、ピーター・ドノホー、蓼沼恵美子、市野あゆみ、服部容子・・・。そのコレクションに、新たに加わりそうなのが、モルゲンシュテルン・トリオの紅一点、キャスリーン・クリッフェル(Catherine Klipfel)だ。

【モルゲンシュテルン・トリオ】

モルゲンシュテルン・トリオはドイツ・エッセンの大学に通っていたメンバーによって、2005年に結成されたキャリアの浅いトリオであるが、ミュンヘンのARDコンクール第2位(およびオーディエンス賞)を筆頭に、既に世界的なコンペティションで素晴らしい実績を上げてきた。私がこよなく愛するベートーヴェン・トリオ・ボンとはほぼ同世代であり、強力なライバルである。上のコンペティション実績は、トリオ結成からわずか数年の間に掴んだものであり、ベートーヴェン・トリオ・ボンと同様に、運命に導かれたトリオというべきだろう。

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2011年5月24日 (火)

クラウス・シルデ シューマン 幻想曲 (Meister Music)

【はじめに】

先日、事務所で昼食をとっていたら、2階部分をほぼ半分シェアしている大家さんの家からピアノの音が聞こえてきた。音色がよく、きっと質のいいグランド・ピアノだろう。はじめドビュッシーかなんかを弾いていて、あとでチャイコフスキーあたりに変わったのではないかと思うが、断片的なものだし、それに集中していたわけでもないのでよくわからない。しかし、ひとつ憶えているのは、断片を細々と鍛え上げるような演奏ではなくて、とにかく、多少は野暮ったい部分があっても通奏に徹していることであった。弾いて遊ぶという行為ならばまだしも、そのピアノの音がレッスン中のものだとするならば、大家さんにはまことに申し訳ないことだが、私はこのピアニストには寸分も可能性を感じない。

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2011年2月14日 (月)

藤田ありさ イザイ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ集 (Intim Musik)

難しい曲は、そうとは気取られぬようにシャンシャンと弾くのがクールなのか、それとも、目一杯に難しくして弾いたほうが迫力がいや増すのか、判断に迷うところである。全6曲にわたるイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタも難曲の代表格であり、その扱いについては多くのヴァイオリニストが苦心を重ねているが、たとえそのなかのたった1楽章でさえ、プログラムにのぼることがあるというほど、その内容は奥深いものがある。

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2011年1月27日 (木)

ニコライ・マルコ チャイコフスキー 交響曲第4番 (NAXOS Classical Archives)

誰にでも、あまり得意でない曲というのがあるはずだ。私はチャイコフスキーの音楽に多くシンパシーを感じるのだが、そのなかで、歌劇『イオランタ』(あまりに退屈すぎる)とともに、交響曲第4番は苦手の部類に入っていた。

【チャイコフスキーと戦争】

私のみるところ、チャイコフスキーの後期の3つの交響曲は「戦争」交響曲の色合いがつよい。夫婦の不和やスポンサーであったフォン・メック夫人との関係、反対にホモ・セクシャルであった可能性、人生の最期が自殺である可能性など、チャイコフスキーの音楽とは無関係のプライヴェートに関するゴシップ的な話題は豊富である。しかし、私がチャイコフスキーにもっとも大きな影響を与えたと思われることは、やはり戦争であったと思う。

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2011年1月16日 (日)

バイロン・フィデチス指揮 マノリス・カロミリス作品 (NAXOS)

【不幸の国・ギリシア】

テオ・アンゲロプロスの映画に描かれているように、欧州古典文化の起点であるギリシアの歴史は過酷である。この地域は中世、長くビザンツ帝国(東ローマ帝国)の勢力圏として栄えたが、その帝国も実質的にはかなり早い時期に斜陽を迎え、十字軍やイスラム教徒に踏み荒らされるよりはるかに早く、その命脈は尽きていた。

十字軍戦争のあと、バルカン半島はムスリムの支配下となるが、「ギリシア」の名前が突如として輝きを放つのは、啓蒙主義の広がりに触発されてナショナリズム熱が高まった18世紀末のことで、詩人・バイロンや、ベートーベンはつよくギリシア人の独立にエールを送った。また、彼らを助けることを名目に、ロシアが介入して血みどろの露土戦争の引き金ともなり、この惨禍にはチャイコフスキーが激しく感化された。

1830年、バイエルンから迎えた中立的な王が君臨することでようやく独立が成立したが、すべてが丸く収まったわけではない。アンゲロプロスの映画は、むしろ、この先を問題にしているわけだ。落ち目のトルコに対する戦いも敗北と勝利を繰り返し、独立後も王制と共和制が激しく交代して、混乱は止まなかった。WWⅡでは、ナチスやファシスト勢力の蹂躙も受ける。戦後もラディカルな共産主義運動が起こるなか、内戦に火がつき、一応の政治的安定を迎えたあとも軍事クーデターなど火種は尽きなかったようである。説明らしいことを書いているが、私としてもギリシアの近代史はとても複雑で、理解しづらい。ギリシアの災厄は今日にもつづき、21世紀に入ってさえ、この国は国家財政の経済破綻という重大な悲劇を経験することになり、あわやリーマン・ショックにつづく世界的恐慌の震源地にもなりかけた。

なんという不幸な国なのだろう?

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2010年12月21日 (火)

ブランディス四重奏団+α シェーンベルク 浄められた夜 (Nimbus)

トーマス・ブランディスは最近の日本では、仙台国際音楽コンクールの審査委員として再三、来日することで知られている。現在、教育界でも権威をなしつつあるブランディスだが、以前は、カラヤン時代のベルリン・フィルを支えたコンサートマスターのひとりとして知られた存在だった。ハンブルクの音大に学び、そのまま同地でコンサートマスターのキャリアをスタートさせたが、欧州中からカラヤンに集められた精鋭たちのなかに、彼も入っていたのだろう。

その後、同僚たちと結成したブランディス四重奏団(ブランディスQ)としても、数多くの名盤を送り出している。より正確にいえば、ブランディスは学生時代から室内楽の活動には熱心であったようで、オーケストラ以上に、身近なライフ・ワークであったとも見ることができる。

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2010年11月13日 (土)

ドヴォルザーク ミサ曲 ニ長調 エドガー・クラップのオルガンとともに

ドヴォルザークの宗教曲では、『レクイエム』と『スターバト・マーテル』が有名である。これらに比べると「秘曲」という感じが漂うものの、ニ長調の『ミサ曲』もある意味で、ドヴォルザークらしい佳品である。

作品は1887年、友人であったというヨセフ・フラーブカ邸にできた小さな礼拝堂の献堂式のために書かれ、僅か19日で仕上げたという。私邸に造られたお堂であるから広さもさほどではなかったようで、当初はオルガン伴奏と、4人のソリスト、小規模の混声合唱団という編成で書かれていたが、のちに改訂されてオーケストラ伴奏版に仕上げられた。ただし、このオーケストラ版の録音と比べると、どちらかといえば、初演時のオルガン伴奏による録音のほうが多いかもしれない。ここに紹介するのも、オルガン伴奏のものである

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2010年9月25日 (土)

エフゲニー・スドビン ハイドン ピアノ・ソナタ集 (BIS)

さいたま芸術劇場の企画で、ピアノ・エトワール・シリーズというのがある。教育関係やコンペティションを中心に勢力を張る中村紘子女史のプロデュースによる企画で、これまでは、ブレハッチやコブリン、上原彩子など、日本のコンペティションでも活躍したコンクール戦線の猛者たちを中心に、若いピアニストたちが腕を競ってきた企画だ。その公演リストのなかに、エフゲニー・スドビンという、ちょっと聞かない名前のピアニストの名前が紛れ込んだ。

【メトネルから〜出会い】

このシリーズには何を隠そういちども足を運んだことがないし、これまでは、わざわざ与野くんだりまで足を運ぶ理由も見つけられなかったというわけだが、もちろん、このスドビンについては、ほかの公演にも増して無関心だった。しかし、なんの偶然か、ピアノ協奏曲をたくさん聴いていたある日、このスドビンの演奏を耳にすることになった私は驚いた。彼は私の信頼するレーベルのひとつであるBISから、メトネルのコンチェルト(第2番)をリリースしていた。

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